原水禁運動の再生をめざして
〜このWebサイトの主張〜


 原水禁運動は、日本を代表する反核・平和運動で、世界にヒロシマ・ナガサキの経験を伝え、「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ」の運動を広げるうえで大きな役割を果たしてきました。非常に規模の大きな平和運動組織であるというだけでなく、原水禁の思想は世界的に大きな影響力を持ち、その実績も高く評価されています。核のない21世紀を実現するためには、原水禁国民会議が担ってきた運動をさらに発展させ、押し進めていくことが必要です。

 21世紀を目前に控え、米ソ冷戦構造後の世界は新しい秩序を探って試行錯誤を行なっています。さらに、しばらくはこうした状況は続き、核のない平和な世界へ向けた流れと、それに逆行する動きが拮抗し揺れ動く時期が続くでしょう。核のない21世紀へ向けた舵を定めさせるための重大な分水嶺のなかで、まさに私たちの平和運動の力が問われているそのときに、原水禁の運動は十分な力を発揮できない状況にあり、その役割を十分に果たすことができずにいます。

 1989年11月に総評(日本労働組合総評議会)が解散してから、旧総評勢力をその最大の基盤としてきた原水禁の組織は大きく動揺を続けてきました。旧総評が担ってきた原水禁の課題は現在に至っても連合(総評と同盟が合流して結成)が担う状況とはなっていません。総評〜総評センター〜連帯する会〜中央労組会議と続いてきた総評の後継組織が99年5月には最終的に解散し、かつての護憲連合や労農市民会議はフォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)に再編されました。被爆3県を中心とした強い働きかけもあって原水禁の組織は残ったものの、組織のあり方についての厳しい議論が行なわれています。また、連合は政治戦線を民主党に一本化したのに続いて、旧同盟系労組を基盤としてきた核兵器禁止平和建設国民会議(核禁会議)と、原水禁とを統合していきたいとの方針を明らかにしています。

 さらに、これまで関係の深かった社会民主党との関係をめぐっても、混乱が続いています。中央の構成団体の多数が民主党支持の方針を固めているため、社民党との距離のとりかたに慎重な配慮をせざるを得ない一方で、現実問題として民主党が平和問題について原水禁運動と共通の立場にはなく、運動からの要請についてもほとんど取り組めないという現実があるからです。とくに地方においては社民党が大きな役割を果たしていて、それ抜きで運動が成り立たたないという実態の県も多く存在していて、政党との関係について極めて微妙な状況が続いています。また、中には新社会党が影響力をもつ地域もあり、問題を一層複雑にしています。こうした政党との関係の混乱が、日常的な行政への働きかけのうえでも、大きな制約となっているといわざるをえません。

 21世界の新しい世界のあり方について模索が続き、平和運動からの提起がかつてなく重要となるのと同時に、私たちの平和運動組織が十分に力を発揮できないまま溶解すらしかねねいという現在の状況は、全く不幸なことです。いま、原水禁が掲げてきた理念を高く掲げてすすむならば、私たちは大きな役割を果たすことができるはずです。私たちは核のない世界を目指して、今こそ原水禁運動の再構築をはかるための取り組みをすすめることを訴えます。


上記は原水禁国民会議の組織としての見解を反映するものではありません。
本Webサイトとしての独自の主張です。原水禁の見解は下記の原水禁国民会議のHPをご覧ください。
●原水禁国民会議HP: http://www.jca.apc.org/gensuikin/