Tボディの弱点
Tボディが主流
現在日本において主流になっているキャンピングカーは、Tボディという、小型トラックをベースにしたものです。
主流になるのにはちゃんと理由があって、
- サイズがちょうどいい
- 値段が比較的安い
- 架装しやすいので、種類が豊富
という、大衆に受け入れられる条件を満たしているのですね。
ところが、そんなTボディにも弱点があります。
私が現在までキャンピングカーを購入出来ずに悩んでいるのには、現在の車がまだ健在であることのほかに、これらの弱点がどうしても気になって仕方が無いからなのです。
トラックの走行性能は貧弱
トラックは商用車です。
商用車というのは、雇った人間を乗せるものですし、荷物を載せるものです。ですから、走行性能などというものは求められていません。求められているのは、「荷物を載せる」ことと、「走る」こと。それも、最低限の性能さえあればいい、というものです。
最低限の性能さえあれば、あとは出来るだけ安くて丈夫であることが求められ、それ以上は求められないのです。
経営者は出来るだけ出費を押さえようとしますから、貧弱なディーゼルエンジンを積んだトラックになってしまうのです。
ただ、どうしてもハイパワーや高性能が必要な場合もあります。
長距離トラックがそうですし、重たいものを運ぶ場合もそうです。運転手の要望が強いところもあるかもしれません。
そういうところのために、小型トラックにも一応130ps出るようなエンジンもラインナップされていますし、オートマチックもあったりします。でも、需要が非常に少ないためか、値段はかなり高価になってしまうようです。
ただし、ハイラックスやストラーダなどの4WD系ピックアップトラックにはハイパワーのものも少なくないですね。これらのピックアップに架装したものも昔からありますが、概して評価は高いようです。
そのかわり、ノーズがあるぶんだけどうしても全長が長くなってしまうのがネックです。
乗り心地
トラックは、重たい荷物を積みます。
だから、足回りもそれに対応出来るように、板バネなどのハードで耐久性の高いものが使われています。
その結果、どうしても乗り心地は犠牲になってしまいます。だって、荷物には乗り心地なんて必要ありませんものね。
また、荷物を載せると、どうしても重心が高くなってしまい、カーブではロールするようになります。
高速道路などでは横風の影響を受けやすくなりますし、横を大型トラックが通過しようもんなら、目一杯逆ハンドルを切って耐えることになってしまうのです。
もうひとつ、小型トラックはキャブオーバー型になっています。
キャブオーバー型は全長を短く抑えられますが、前輪の真上に運転席があるため、どうしても乗り心地が悪くなります。
前輪の稼動部分が座席と同じ位置にあるのですから、拾うショックは全て座席に伝わってしまいます。この構造で乗り心地を求めるのは無理というものです。
それでもずいぶんと研究され、良くはなっているんですけどね。
ウォークスルーは必要か?
私は、ウォークスルーは大事な必要機能だと思っています。
というのも、現在乗っているタウンエースで、いつも欲しいと思っているからなのです。
実際に乗っておられる方々は、あまりこれを重要視しないようですが、あると無いとではずいぶん使い勝手が違うと思います。普段乗用車に乗っているとあまりそう思わないでしょうが、中腰ででも中を歩けるような車だと、やはり中をちゃんと移動したくなるものなのです。
また、車体が大きいと、反対側のドアから乗り降りしたくなることがよくありますからね。
それに、停止した状態で運転席の部分が使えないとなると、これは完全なデッドスペースになってしまいます。
最前列を有効活用できれば、より効率的なレイアウトが可能になるはずなのです。
小型トラックは、キャブオーバー型といって、エンジンが前席の下、前輪の上にあります。
ですから、どうしてもここを通路にできないのです。
ただ、シフトレバーを可倒式にして通りやすくしたり、といった工夫はされているようです。
意外に荷物が積めない
Tボディは意外に荷物が積めません。
私なんかはバイクを積みたいと思うのですが、そうすると実質的に選択肢はバンコンしかなくなってしまいます。
いわゆるトランスポーターというのは、Tボディには存在しないのですね。不思議なことに。
でもこれは、ひとえにシェルの設計にかかっています。
そういうことを考えたシェルを設計すれば、解決出来る事ではあります。
でも、現行モデルでちゃんとした荷物が積めるのは、ほんの1〜2種類しかありません。
右のアーデン・スペンドのように巨大なトランクルームを持った車種でも、バイクを積むのは無理のようです。
こんなに大きな車なのに、家具を買っても積んで帰れないっていうのはねえ。。。と思いません?(^^;
あたしはどうしてもこれが納得できないんですよ。
ベース車の選択肢
国産のトラックの選択肢は非常に少ないです。実は、現在一番問題なのはこれなんですね。
そもそも需要が少ないから車種も増えないんですけどね。ま、まだまだキャンピングカーの市場なんて小さいですから、致し方ないことなのかもしれません。
現在、キャンピングカーのベースとして選べる小型トラックは、エルフとデリカ、そしてカムロードくらいしかありません。
その中でも、現行モデルのTボディのほとんどがカムロードを選択しています。
これは、カムロードがキャンピングカー専用という位置付けで販売されているからです。
リアワイドトレッド車を用意したり、パワーウィンドウなどの乗用車並の快適装備を用意したりと、カムロードはかなり頑張っています。騒音対策や足回りも架装を考慮した作りになっているようです。キャビンよりも幅の広いシェルを架装することの多いキャンピングカーには、リアがワイド化されたり、足回りが強化されているシャーシはとても有効なのです。
でも、キャビンごと広ければもっといいでしょうにねえ(笑)
また、中には非力さを解消するためにボルトオンターボを用意するメーカーなどもあるようです。
でも、値段が確か50万円です(^^;
徐々にですが、ベース車も改良されつつあるのでしょうか。
新しい選択肢
そんな中、月間オートキャンパーに、興味を引く新型の広告や記事が掲載されました。
レガートとアルファとという、デリカ・スペースギアのカーゴバンをベースにしたモデルです。
デザイン、走行性能、ウォークスルー、どれもこれまでのトラックとは一線を画すものです。
スペースギアのカーゴをベースにすることによって得られるメリットは、
- 車体が軽い(バンですから)
- フロアが低い(トラックよりは低いです)
- ウォークスルーが可能(ノーズにエンジンがあります)
- 前面の衝突安全性がマシ(ノーズがありますから)
- ガソリンエンジンがある(選択肢は2000しかありませんが、無いよりマシです)
- 値段が安い(カーゴバンは安いです)
- 高度な4WD機構がある(これはデリカならでは)
などが考えられます。
もしこの試みが成功すれば、トラック一辺倒だったTボディ市場に非常に大きな一石を投じることになるでしょう。
私も非常に注目しています。
惜しむらくは、もうちょっとキャビンの幅があればなあ、ということですね。
スペースギアって5ナンバー幅しかないんですよね。
ワイドトレッドやワイドキャビンの選択肢が無いのが残念です。
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