東電への損害賠償(慰謝料など)請求の法的根拠




原子力事業者である東電への賠償請求の法的根拠を 民法709条から「原子力損害の賠償に関する法律」3条に変更


法的根拠を変更した理由
 当司法書士が東電宛に最初に送付した内容証明に記載した自働債権は、民法709条による慰謝料債権となっています。しかしその後、
「原子力損害の賠償に関する法律」第3条を根拠条文にした方が、被害者にとって後の訴訟の場で「東電の過失」を主張・立証する必要が
なく有利(下記法律条文の違いを参照)であることが判明したので、既に送付済みの法的根拠を第3回目の通知書で変更修正しました。
 もし、過去にこのHPをご覧になった方で、当司法書士と同様に民法709条による損害賠償(慰謝料など)請求権を有すると内容証明郵便
で発送済みの方があったとしても、心配ご無用です。実際の裁判になった段階で「原子力損害の賠償に関する法律」第3条に基づく慰謝料
請求である旨の主張をすれば、裁判官はこちらの法律を適用します。
 つまり、法律の根拠条文の違いによって損害(慰謝料)の中身が変動するものでないし、そもそも法律を適用するのは裁判官の専権事項
だからです。(2012/09/09*更新記載)


民 法

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。



原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日法律第147号)

     
第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、
及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「原子炉の運転等」とは、次の各号に掲げるもの及びこれらに付随してする核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染
 された物(原子核分裂生成物を含む。第五号において同じ。)の運搬、貯蔵又は廃棄であつて、政令で定めるものをいう。
  一号  原子炉の運転
  二〜五号 (省略)
 2 この法律において「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これ
   らを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう。(但し書き:省略)
 3 この法律において「原子力事業者」とは、次の各号に掲げる者(これらの者であつた者を含む。)をいう。
    一  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 (略:規制法という。)第二十三条第一項 の許可(略)を受けた者(略)
    二〜七号(略)
4項 (略)
    
第二章 原子力損害賠償責任
(無過失責任、責任の集中等)
第三条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたとき(注)は、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその
 損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2項 (省略)

(第3条以下の条文は省略)

注: コメント この法律の条文(第3条)には民法709条のように「過失によって」という法律要件が要求されていないので、実際の訴訟においては、「東電の過失」
  は主張・立証の必要がなく、 @損害の発生とその中身 A因果関係 が主な争点になるものと思われます。



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