ドリーナ・バレエシリーズ

子どもの頃は図書館で読んでいました。
アマゾンで古本をコツコツ集めましたが、途中からものすごく値段が上がったし、売りに出てもこなくなって、もう限界かな。
電子書籍にして復刊させればいいのになー。
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巻末の紹介


シリーズ紹介:

バレエへの夢

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島田三蔵訳
発行 1978年9月
偕成社

裏表紙の説明文--

両親のいないドリーナは、おどるために生まれてきたような少女です。バレエ学校にはいりたいかの女に、なぜかおばあさんは強くそれに反対します。
ロマンチックな舞台、劇場の持つ独とくなふんいきなど、バレリーナをめざすドリーナをとおして、バレエの世界がぞんぶんにえがかれています。

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ドリーナシリーズの初刊。
ストーリー展開が劇的だし、バレエ部分の華やかさ、休暇旅行での風景描写の美しさ、イギリスの裕福な家庭の女の子の生活の珍しさなどシリーズの魅力が全部詰まっています。ドリーナは感受性が強くていろんなことに激しく反応するので、いっしょにドキドキしたり喜んだりしました。

白鳥のように

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島田三蔵訳
発行 1978年9月
偕成社

裏表紙の説明文--

あこがれのバレエ学校へはいったドリーナを待っていたのは、きびしい毎日の練習と、いじわるなライバルたちです。
そんな中でかの女の心をなごませ、ささえてくれるのは、「白鳥の湖」「クルミ割り人形」などの美しいバレエの鑑賞と、胸にひめたなき母のおもかげでした。

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ドリーナシリーズの第二巻。
前の巻の続きの1年間。ドミニクのオーディションと、学校生活。仲良くなったローズとバレエ団の練習をのぞいたり。春の休暇はジェニーと農場。夏は家族でスイス。ドミニクのクリスマス公演に出る代わりに、ウエストエンドで「いいあらそい」のお芝居に出演。おじいさんおばあさんからもらったクリスマスプレゼントはオペラ・グラス、うらが毛皮の手袋、真っ赤なパーティ・ドレス。

うんうん、素敵素敵。私はこれでバレエ学校やウエストエンドの存在を初めて知りました。当時小学生でしたが制服があったので、ドリーナ気分で大事に着てみたりしたものです。

のびゆく悩み

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島田三蔵訳
発行 1978年10月 原書の初版は1959年(ホダー・アンド・スタウトン社)、1974年の改訂版(コリンズ社版)から訳出
偕成社

裏表紙の解説は無くなったので、巻末の紹介文--

ロンドンをはなれ、いなかの寄宿バレエ学校へうつされたドリーナは、まるで流刑されたような毎日です。そんななかでドリーナはロンドンの一流劇場で、はじめて踊ることになったのです。

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ドリーナシリーズの第三巻。
前の続きの一年間。おじいさんが病気療養のためオーストラリアに行き、その間ドリーナはドミニクの分校、チョーク・グリーンへ。ドリーナはロンドンが好きになっていたのでなかなかなじめないが、次の学期からローズも奨学金をもらって転校してくるし、次第に周りの自然と友人たちが好きになったところでおじいさんたちが予定より早く戻ってきてロンドンに戻ることになる。
ライバルの一人、クリスティーン登場。ウィラーバリのセルズウィック先生がドミニクに迎えられて再登場。ドリーナはクリスマスの学生公演「妖精が取り替えた子」で主役を演じる。
春と夏の休暇はジェニーの家族と過ごす。夏は一緒にウェールズへ。

公演当日に事件が起こって舞台に間に合うのかヒヤヒヤ・・・という何度か繰り返されるパターンがここで初めて出てきます。クリスティーンは嫌な子だったな。
都会の風景と田舎の自然がどちらも魅力的に描かれています。ドリーナの感情のアップダウンに合わせて読む方も揺さぶられるけれど、基本的にはドリーナはワクワクしたりバレエに熱狂していることが多いです。旅行の前に荷造りする描写も楽しい。この巻ではドリーナは30までは結婚しないし、するとしてもバレエ関係者だろうと言っています。

バレエひとすじに

(未入手)

谷村まちこ訳
偕成社

巻末の紹介文--

ロンドンに戻ったドリーナは、まだ見ぬ祖母をたずねてイタリアへ旅行します。そこで、はからずも舞台に立つことになります。

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ドリーナシリーズの第四巻。
休暇中にひとりでイタリアへ。ドミニクバレエ団もイタリアに来ていて、ドミニク氏の息子イゴールに出会う。体調を崩したメンバーがいて、コール・ド・バレエの代役にたつんじゃなかったかな・・・
イタリア旅行の素敵さが印象に残っています。路上カフェでオレンジエードを頼んだのにお財布を忘れて、イゴールにとても感じ悪く助けてもらったのを覚えています。子ども心にはなにもかも大人っぽい世界でした。

バレリーナの道へ

(未入手)

谷村まちこ訳
偕成社

巻末の紹介文--

けがをしたドリーナは、しばらくバレエができなくなりました。しかし、すばらしいことがドリーナを待ち受けていました。

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ドリーナシリーズの第五巻。
ウエストエンドのお芝居「愛すべきブルタス」に出演はこの巻かな?
「くるみ割り人形」のクララ役に選ばれて、エディンバラ祭でドミニクバレエ団と一緒に公演したのもこの巻かも。
イロンカの登場もこの辺かな?

はじめての愛

(未入手)

谷村まちこ訳
偕成社

巻末の紹介文--

ドリーナは祖父母と共にアメリカへ旅行します。豪華船の中で知り合った青年に、ドリーナははじめての愛のときめきを感じました。

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ドリーナシリーズの第六巻。
おじいさんが出張でアメリカに行くのにおばあさんとドリーナもついていきます。おじいさんたちは事故で娘を亡くして飛行機嫌いなので、移動は船です。何日もかけた豪華客船の旅が素敵すぎてもう・・・!プールがあるし、客室のクローゼットに服をしまうのさえゴージャスな感じがしました。出張なのにそんなノンビリしてていいの?と子ども心にも思ったものです。
船上ではドミニクのプリマドンナ夫婦と仲良くなったり、グラントとヨランダ、ニューヨークのバレエ団の人と知り合い、「二十世紀のセレナーデ」というバレエを創作、ヨランダと共にニューヨークで踊りました。ニューヨークでの旅の様子も素敵でした。5番街のサックスでドレスを作ってもらったり、グラントのマンションからマンハッタンの夜景を眺めたり。

夢ははてしなく

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片岡しのぶ訳
発行 1981年8月
偕成社

裏表紙の紹介文--

ニューヨークから帰ったドリーナは、バレエ学校が、まえのようにはたのしめなくなりました。ドリーナの心は、初恋の思い出にとらわれていたのです。
そんなドリーナに、思いがけずパリでおどる話が持ちこまれました。パリの舞台、マロニエの花咲く並木、あこがれのモンマルトル・・・。パリに魅せられたドリーナでしたが、その心には、満たされないものがありました。

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ドリーナシリーズの第七巻。
夏が終わってニューヨーク帰りの船がイギリスに着くところから、半年間くらい?の話。
ウィラーバリからマークが転入。キャサリン・コールビーが病気で引退。ドリーナはフランカスター(あと書きによるとチェスターがモデル)の劇場で、ドミニクの生徒たちと共にミュージカル「クリスマスの国」の主演をつとめる。一方、ドミニク恒例クリスマスのマチネ公演ではドリーナが作った「二十世紀のセレナーデ」が上演される(NYの先生がボロネーズ先生に手紙を送ったため)。クリスティーンが退学。ドリーナとローズはドミニクのパリ公演で「くるみ割り人形」のクララを踊る。ドリーナはパリでもドレスを新調。出張で来ていたグラントが公演をみつけ、ドリーナと会って二人でベルサイユに行ったり、パリを歩き回る。

「クリスマスの国」の公演生活はとても楽しそうでした。ドリーナがパリに夢中なので、私もモンマルトルやユトリロに興味を持って、図書館でいろいろ本を借りたものです。

南国の花園

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片岡しのぶ訳
発行 1981年11月
偕成社 原書はホダー・アンド・スタウトン社

裏表紙の紹介文--

劇への出演、バレエのレッスンと、きびしいけれど充実した毎日をとりもどしたドリーナに、かなしい試練が待ち受けていました。おじいさんが重い病気にかかったのです。ドリーナははじめて、舞台に生きることの苦しさを知ります。
そして、夏休み。おじいさんの静養をかねて、ドリーナ一家は、南の島、マデイラに旅だつことになりました。

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ドリーナシリーズの第八巻。
パリから帰るとすぐ「あるダンサーの日記」に代役で数週間出演。ローズやチルターン校の生徒たちがドミニクに合流。ドミニクがレッド・ライオン広場から移転することが決まって生徒たちはショックを受ける。おじいさんが危ない状態になる。休暇は船旅でマデイラへ。船でリンゲラックス・バレエ団といっしょになり、フンシャルでの公演に参加、「二十世紀のセレナーデ」も踊る。バレエ団のジャスパー・ブレーンがドリーナに夢中になる。旅の終わり、おじいさんがロンドンで冬を越せないこと、ドリーナはスイスの教養学校に転校することが告げられる。

私がマデイラを知ったのもこの本からじゃなかったかな・・・。相変わらず豪華な旅行で憧れました。だいたい、数週間にわたる休暇旅行というのがありえなかった。数巻前からジェニーの家が破産しジェニーも希望が絶たれた状態になって友情が変質したり、子どもの頃はなんでこんな展開に・・・と思ったけれど、夢や希望だけにならないようにバランスを取ったのかなと思います。

憂いの湖畔

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片岡しのぶ訳
発行 1982年2月
偕成社 原書はホダー・アンド・スタウトン社から1964年出版

裏表紙の紹介文--

おじいさんの病気静養のために、ドリーナ一家はスイスで冬を過ごすことになりました。バレエ学校をはなれて、スイスの寄宿学校に入れられたドリーナの目には、美しい湖水も涙にくもるのでした。でもドリーナは、ひとりぼっちのレッスンをつづけながら、ついにすばらしいバレエを創作するのです。

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ドリーナシリーズの第九巻。
ドミニクや複数の出演オファーから離れて、おじいさんのためにルガノの寄宿学校へ。学校の規制が多くて合わないし、学校からも問題児扱いされて苦しい時期を過ごしながらも、11月には「ニューヨーク・ラプソディ」の制作をはじめ、クリスマス学芸会で上演するために学校からも全面的な協力を得て完成させる。クリスマスはローズを呼んでアルプスで過ごしホテルで踊る。クリスマス休暇が終わるときには、ローズといっしょにロンドンに帰ってよいと言われてハッピーエンド。ジェニーもロバートと婚約して幸福のきざし。

イタリア、ドイツ、スイスの地理関係や言語の入り混じり具合を私が知ったのはこのシリーズからだったと思います。物語としては、ドリーナが沈んでいるのでちょっと暗めなトーン。旅の楽しさはたっぷり描かれています。ドリーナは振付だけでなく、舞台美術と衣装デザインもやるので、背景の絵を描いたりするシーンが楽しかった。

巡業の旅へ

(未入手)

片岡しのぶ訳

巻末の紹介文--

あこがれのバレエ団に入って、はじめての公演旅行出かけるドリーナ。苦しい試練をのりこえて新しい明日への夢をはぐくみます。

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ドリーナシリーズの第10巻。
地方巡業中のドミニクに病気で欠員が出て、授業中のドリーナとクイーンと数名呼ばれて巡業に参加。ドリーナは主役級の役や贅沢な環境に慣れているので、コールドバレエの一員として質の良くない下宿に滞在するのに苦労する。しかもクイーンと同室。クイーンもお嬢様なので苦労は同じで、一緒に乗り越えることで仲良くなる。ジェニーの結婚式で踊る。グラントがロンドンにきて働くことになった、というニュースで物語はおしまい。だったと思う。

ドリーナは朝ご飯があまり食べられないのに、下宿でどっさりベーコンを焼かれて・・・というのを妙に覚えています。おばあさんには本人は認めないけど階級意識があって、ドリーナの友達としてはローズよりクイーンを歓迎したというのも印象深かった。
11巻ではクイーンはドリーナの作品に出演したり、結婚式に呼ばれる仲になるわけだから、ドミニク入学以来8巻も仲が悪かったことを考えると感慨深いです。