山梨 やまなし               別名 ズミ・ヤマリンゴ・スナシ
 
漢字について 
 形声 利()+木 利は、稲を刈り取る形。甲骨文字は「」。本字は『』。中国梨は北方の白梨や秋子梨の系統とされる。日本のナシは、ヤマナシの系統で、南方の沙棠(さどう)・沙梨(さり)の系統とされる。現在、ヤマナシの中国名は『沙梨』『杜』である。
 ナシの語源は、端(つま)ナシの木(果実の先端がない)から。中酸実(なかすみ)(中心が酸っぱい実)からなど。ナシは、「無し」に通じることから、「有りの実」と呼ぶ人もいる。

材について
バラ科ナシ属の落葉広葉樹        高さ20m 直径1.4m 気乾比重0.75-0.90
 辺材心材とも黄白色から帯紅黄褐色で境界は不明瞭。散孔材。重硬、緻密で割りにくい。器具材(斧などの柄・槌(つち)・杵(きね)・櫛(くし)・施作の盆・墨の型枠)・家具・靴型・薪炭材に使われる。

その他 
 『唐書』の「礼楽」によると、唐の玄宗皇帝は音律や戯曲(ぎきょく)を好み、長安の禁苑(きんえん)の梨が植えられていた園に養成所をつくり、俳優の子弟300人を自ら教えた。これから梨園(りえん)の呼称が生じた。

制作中の独り言
 ヤマナシの板には当然『梨』の字を彫るべきなのだが、以前ケンポナシの板に『梨』の字を彫ってあったので、辞書でケンポナシを再確認して刻字画像の字を見つけた。ケンポナシの板も買い直して、字を彫り直した。梨の字は、新しく書き直してもよかったのだが、もったいないのでこのまま使うことにした。かくして『梨』の字は落ち着くべきところへ落ち着いた。めでたしめでたし。
 
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刻字画像



立木画像1



立木画像2



染色画像