辛夷 こぶし                  別名 タウチザクラ・ヒキザクラ     

漢字について  
漢方で、モクレンの開花直前の蕾(つぼみ)を陰干ししたものを辛夷といい、鎮静・鎮痛剤や慢性鼻炎・蓄膿症(ちくのうしよう)の薬として用いた。日本にモクレンは自生していないので、それに変わるものとしてコブシ・タムシバが使われたため、そのままこの漢字が使われた。『辛夷』は実が辛いから。銘木業界では『香節』をあてる。暦(24節季72候24番花信風)では『望春』をあてる。中国では現在も、シモクレンを指す。
 語源は、古名コブシハジカミの略。またコブフシ(瘤節)の略。蕾(つぼみ)が、握り拳(こぶし)のようについている形状からとも。

材について
モクレン科モクレン属の落葉広葉樹        高さ15m 直径0.5m 気乾比重0.50
 辺材と心材の区別ははっきりしない。灰白色でホオ材に似るが、素性・材色ともやや劣る。小物の器具材・玩具・漆器木地などに使われる。皮付きの丸太・小丸太は、雅味を生かして茶室の床柱や軒の垂木(たるき)に使われる。木が小さく量がまとまらないので、材としての利用は極めて小さい。

その他 
木炭もホオノキ炭に準じて金銀などの研磨剤(けんまざい)として使われる。また、花木として庭に植えられ、同属のモクレンの台木として使われる。

製作中の独り言
 軟らかくてとても彫りやすい材である。しかし、材で使うよりは花を愛でた方がいいと思うのだが、如何?
 
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