柞木 いすのき               ユスノキ・ユシノキ・ヒョンノキ
   
     
漢字について 
 形声 木+乍 乍は、小枝を切ったり、たわめて垣などを作ることの象形。作の初字。この字は、ハハソ(クヌギ・ナラ類の総称)とも読む。『伊須木』は当て字。 
 語源は、ユツノキ(神聖なる木)がユスノキ、ユシノキ、イスノキと変化した。別名ヒョンノキは、虫えいの虫がいなくなり木化したものを吹くと「ヒョウ」となるから。中国名は、『蚊母樹』。 

材について
 マンサク科イスノキ属の常緑広葉樹         高さ20m直径1m気乾比重 0.95
 国産材中、最も重硬な材の一つ。辺材は紅色を帯(お)びた淡い黄褐色、心材は淡い紅褐色ないし紫褐色である。境界はやや不明瞭で、ときに縞状(しまじょう)に色調の濃淡がある。肌目は極めて緻密(ちみつ)で表面仕上がりは良好であるが、乾燥時に狂いが出やすい。
 家具・器具・機械・建築内装材(床柱、床板、敷居(しきい)など)・楽器・薪炭などに使われる。かつては櫛(くし)に使われていた。床材には最適である。ツゲ・シタン・コクタンの模擬材になる。また、風倒木の心材をスヌケと呼び珍重する。

その他 
 照葉樹林の優占種のひとつ。皮と葉の灰は「いすばい」といい、有田焼でうわぐすりを染付ける媒材(ばいざい)に用いられる。また、樹皮に苦味物質ベルゲニンを含み、胃腸薬に用いる。

製作中の独り言
 材は重くて硬いのだが、見た目の柔らかさと漢字から来るイメージで流麗な字にしてしまった。
この材は、九州の材木屋さんから取り寄せたもの。初めて見る材である。ここ半年ほど素材集めをしていたが、だいぶ集まったので、少しずつ彫り始めた。今回は、久々の追加である。

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