櫟 いちい       オンコ・アララギ・スダオノキ・紫松・水松   

漢字について 
 『一位』は当て字。『櫟』とも書くが、この字はクヌギを指す。イチイと読ませるのは国字読み。『赤檮』(赤い切り株の意)ともかく。
 語源は、心材がとても赤いのでイチヒ『甚緋』といったのが、イチヰ『一位』になりイチイとなった。イチイの名前の由来が、仁徳天皇がこの木で笏をつくらせ、それで正一位を授けたと云われているのは、後世のことである。オンコは一般にはアイヌ語からきたと言われているが、東北地方の方言からとも言われる。別名のアララギはアイヌ語のraramaniから。

材について
イチイ科イチイ属の常緑針葉樹    高さ25m 直径2m 気乾比重0.51
 木目はまっすぐに通り、緻密で弾力性が強く、光沢がある。加工は容易で、仕上り面も美しい。建築・器具・機械・彫刻・ろくろ細工・櫛・経木・鉛筆などに使われる。アイヌの熊の木彫りや岐阜県高山の一刀彫りなどが知られる。また、古来、飛騨国位山産のものは笏の材料として有名 。

その他
 材、葉などは糖尿病などに薬効がある。心材は染料とする。実は九月頃熟し、橙赤色で甘く食べられる。伽羅木(きゃらぼく)はイチイの変種である。

製作中の独り言
 彫っていると、鉛筆を小刀でけずっていたのを思い出す。彫りやすい材だ。
 字は、楽という字が入っているので、木目模様とは関係なく楽しそうな字を書いてみた。

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 刻字画像



 立木画像1



 立木画像2



染色画像