エンジンの冷却水は毒液である

6月29日

今日久しぶりに本屋で車の月刊誌を見てみると、エンジンの冷却水についての記述があった。
驚いたのはその内容で、自称自動車ヒョウロンカが冷却水をなめるようにすすめて,更に昔の人はぶどう酒に入れて飲んだと付け加えていることだ。
また編集部からの注釈にもそれが人体に有害な毒であると言う説明は無く,逆に「おいしい」とか「ほんとのことでした」説明があった。
しかし実際は、自動車整備や自動車材料を少し勉強した人ならご存知のとおり、冷却水(LLC)の主成分(80パーセント内外)はジエチレングリコールであり飲用すると人体に害がある
また昔の人はぶどう酒に入れて飲んだというのも、間違いで実際は10数年前に一部の輸入ワインに甘味を増す為、ジエチレングリコールが混入されていたという事件があったのだ。
ワインに毒が入れられていたのだから当然当時としても大事件で、輸入禁止などの措置がとられた。
当時の新聞などを見ればその毒性や中毒症状、致死量などの記述もあるかもしれないが、混入の割合が少なかったのか犠牲者は出ていなかったと思う。
しかし先に述べた車雑誌の記事を知識の無い読者が見た場合はまた別である。
ワインに入れて飲んでいたとか美味しいとか聞けば致死量を越えるほど飲んでしまう人も出る可能性もある。
いずれにしても有毒な自動車材料と食材を混同させるような記事は有害としかいいようが無い。
出版業界では過去にこのような有害な情報を掲載したのが原因で廃刊になった雑誌もあるが、この雑誌もそうなった方が望ましいように思う。
何故なら評論かも編集者或いは記者も基本的な知識が無いのに伝え聞いたことで記事を作っているという根本的問題が起因していると思われるからである。
例えば同じページに環境を考えてフロンガスを入れ替えるという記事もあるが、オゾンを破壊すると言われているエアコンのフロンガスも車から漏れなければ特に害は無いのである。
しかし入れ替えれば話は別で、抜いたフロンガスをきちんと回収しないと廃車まで古いフロンガスを使いつづけた場合よりも環境を悪化させる結果になる。
つまりきちんとしたフロンの回収がされないのであれば、廃車までガスが漏れないように整備して古いフロンガスを使い続けて、きちんとした回収方法が出来るのを待つ方が環境に良いのである。
いずれにしても基本的な知識が無くては、自動車関係の業者の都合で発信された情報に振り回されるだけである。



ちなみに私のHPの車検整備の記事中にもLLCの記述がある。
「LLCはなめると甘い味がするが、からだに悪いので飲みこまないようにする」と解説している。
これは整備士が人間の五感を使って車を点検する一例である


ちなみに「混入」と言う言葉の意味をグランド辞スパで調べると
>ワインに毒を混入する<mix poison in wine; add poison to wine>(グランド辞スパより引用)
という例文が出てきた。
例文はあの事件を指しているのだろと容易に想像できるが、ワインに「混入」(毒などを混ぜると言う意味)でなく「入れる」と言う言葉をあえて使った人の非常識さが解る。