2000年2月5-6日 小山星の会 新年星見会 (茨城県美和村花立山)


2000年なって1ヶ月が過ぎましたが、小山星の会新年星見会を行うということで、茨城県美和村花立山にある花立自然公園のログハウスに行って来ました。
美和村は、首都圏から程良い距離にあるにもかかわらず星空が暗く、星のふるさととして村おこしを行っています。美和村中心部のやや南には花立山があり、この山全体が自然公園となっています。この花立自然公園には、バーベキューハウススペースアスレランドといったレクリェーション施設がありますが、中でも、美和村の特産品であるログハウスが5棟並んだログハウス村と、美スターという名の天文台が、頂上に設置されています。夏にはここで花立山星まつりが行われ、月のない週末には、一般者を対象にした観望会が美スターで行われています。美スターには、まだ完全ではありませんが80センチ望遠鏡が収められ、近辺のアマチュア天文愛好家たちが自主的に運営しています。
今回の新年星見会は、冬場の寒さをしのぐためにこのログハウスを借りて行うと共に、美スターの一般観望日に会わせて、美スターを管理する知り合いの星仲間たちと交流するのが目的でした。

行きがけに買い出しをするというので、14時半に宇都宮市の東を走る国道新4号バイパスをそれた柳田大橋の先に集合。高木さん宝積寺で食べ物とお酒の買い出しをして、日没直後に現地に到着しました。道路脇には、ずいぶん前に降った雪がわずかに残っていましたが、道路は乾いており、凍結路の心配もありません。天気予報では、明日は天気が崩れるとのことでしたが、今宵はまだ快晴で綺麗な夕焼けが見えました。

花立自然公園の頂上には
ログハウスが並んでいます。
下界を見下ろすと、
村の中心地がよく見えます。
頂上の芝生横には、
花立山天文台があります。

現地には、既に安川さん池谷さんが到着しており、ログハウス1棟を借りて待っていました。せっかく明るい内に到着したのだからと、買い出しした食料を降ろすとすぐに、ログハウス前の芝生の広場に望遠鏡を組み立てました。組み立てていると、つくば星の会で知り合いの北川さんが到着しました。北川さん美スターの管理者のメンバーでもありますが、車から愛用の自作42センチドブソニアンを降ろしながら、私の横にドブソニアンを設置しました。美スターの方にも、次々と管理者のメンバーであるつくば星の会中井さん宮崎さんが集まり出しました。一番星も輝きだし、今晩は綺麗な星空になりそうです。

外で話をしていたのですが、夕食を作らなければならないことを思い出し、みんなでログハウスに入りました。それじゃまずは乾杯しようと、こたつに入ってみんなでビールを飲み始めました。今晩の夕飯は鍋とうどんなので簡単に調理できます。そろそろ作らなくては思いつつ話が盛り上がって作り出せません。とうとう肝を冷やした北川さんが、料理は俺に任せてと作り出しました。我々も手伝いながらも、飲みに走ってしまい、鍋が完成する頃に北川さんは、美スターの方の観望会手伝いの呼び出しがかかり、これこれこうすれば完成するからと指示を残して、食べずに出ていってしまいました。

当初は、夜半まで星見会をして、夜半からログハウスに入って新年会をするという予定でした。ところが、腹ごしらえをして星空を見に外に出たのはもう20時近くです。酔いがまわっているのか寒さもあまり感じず、私はいつもながらみんなと話をしながら写真を撮り始めました。そうこうしているうちに、幹事の山本さん夫婦が到着。彼らは星も見ず、すぐにログハウスに入ってしまいました。もっとも山本さんは雨男なので、部屋の中にいてもらった方が、天気も崩れず好都合です。徐々にメンバーも、小倉さん松本さんすばる天文同好会吉成君など、徐々に集まりだし、みんな直通でログハウスに入っていきました。

この日は快晴で、
夕焼けが綺麗でした。
ログハウスの中では、
新年会です。
松本さん自作の中判カメラや
大判カメラの構造の説明。

私は写真を撮っていたのですが、気がつくと外に出ているのは私一人です。ログハウスから呼び出しがかかり中にはいると、もう宴会が始まっています。宴会は夜半過ぎからではなかったの、と思いつつも輪の中に入り、写真のシャッタを切る度ごとに、外に出ていくことにしました。

ぐるっと自己紹介をした後、真岡に住む松本さんが、アルミトランクを2つ出してきました。なんと中判大判自作カメラ群です。まずは中判の円形カメラから説明が始まります。カメラのボディはマミヤの6×7ユニバーサルプレスホルダー。Mマウントを取り付け、その先にCマウントの自作プレートが付けられています。そして、Cマウントには、いろいろなレンズが取り付けられるように、各メーカのカメラマウントを付けたアダプターリングが一式揃えられています。アダプターリングはCマウントと各カメラメーカのマウントをそれぞれ金属チューブでつないた物ですが、どのマウントでも同焦点になるように、各社のマウント部からカメラボディまでの距離を0.1mm単位以下で実測して、金属チューブの長さをそれに合わせて旋盤で削った物でした。アダプタリングを交換するだけで、ニコン、キャノン、ペンタックス、オリンパス、ミノルタとすべてレンズを取り付けることができる優れ物です。そして次に出てきたのが大判カメラです。4×5のフィルムで撮れるように、中判カメラ用のレンズが取り付けられます。4×5フィルムは誰もが一度使ってみたいフィルムで、私も20年以上前に、学校の写真儀でXレイやネオパンSSSを使って撮影したことがありますが、自分で大判カメラを持てるのは羨ましいです。ただレンズのF値が5.6の物が多いので、撮影は大変なようです。そうこうしているうちに話は、レンズ談義になつていくのでした。

すばる天文同好会吉成君が、数年前から捜していた物を最近手に入れたと、双眼鏡を取り出しました。ニコン7センチ10倍、視野65度のものです。かなり昔に、わずかな期間だけ作られた物だそうです。先ほど外で星見をしていたときに覗かせてもらっていましたが、非常に覗きやすく収差も悪くありません。吉成君は、以前、ある方から覗かしてもらい、いろいろ蘊蓄を聞いた末に、自分も欲しくなり、ニコンの双眼鏡を専門に扱っている中古カメラ屋に頼んでおいて、やっと手に入れたそうです。

レンズの話、カメラの話、フィルムの話と盛り上がりました。美スターに来ていた小田さんという方が、海外のおみやげにウォッカを持参してきたのですが、彼は某国立大学の写真学科出身で、いろいろな話を聞かせてくれました。私が昔、103aEやトライXで撮影しては自分で現像していた話をすると、小田さんは学生の頃、薬品を自分で調合して現像液を作り、カラーリバーサルまで現像していたそうです。現像液とフィルムの相性の話など、いろいろな面白い話を聞かせていただきました。

花立山天文台の入り口の
「美スター」の看板。
美スターの中でも
酒を飲みながら星談義が。
ログハウスでは翌朝も、
星の話が続きます。

時々外に出ては、撮影対象の天体に望遠鏡を向けて写真を撮っていたのですが、夜半過ぎから低空に雲が出始めました。撮影も早めに終え、美スターの方に遊びに行くことにしました。美スターの入り口奥の部屋でも飲み会が行われていました。ウォッカラム酒をいただいて話をしているうちに、美スターの中井さんが、戦前に出版された望遠鏡の本を出してきました。京大から出版された物で、ハードカバーの素晴らしい本でした。他にもいろいろな本が出てきました。また、宮崎さん多胡スケッチ集の話になりました。宮崎さんは、友人から聞きつけて当時発行された多胡スケッチ集を購入されたそうで、スケッチ集や彗星観測の話もしました。先ほど話をしていた小田さんは、もう泥酔して横になって眠っていましたが、美スターには床暖房が入っており、暖かさの中、あっと言う間に時間が過ぎていきました。ログハウスに戻っても話は続き、朝5時頃、こたつに寝袋の足の部分をみんなでつっこんで、就寝となりました。

9時頃、目が覚めました。目が覚めたというよりは、みんなが起き出したのに気づき、私も起きることにしたのです。ログハウスのチェックアウトは10時、眠いながらも、昨晩の残りの鍋に具とうどんを足して、パンと共に朝食をとりました。昨晩から外に出しっぱなしの望遠鏡を片づけるために外に出ると、空は薄曇りでした。望遠鏡を分解していると、ログハウスを管理しているおじさんが掃除をしに来ました。私が望遠鏡を車に運んでいるのを見て、昨晩はどうでしたかと聞いてきました。そこで、昨晩は晴れていて星が綺麗だっこと、明け方に寝たのでみんな眠いことを話すと、それじゃ本当は10時にログハウスを出なくちゃいけないんだけど、綺麗に掃除をしていってくれればゆっくりしていって良いからと言ってくれました。そこで、きちんと掃除することを約束して、のんびりしていくことにしました。

のんびり出来ることが判ると、またみんなでこたつに入って星の話が始まります。池谷さんが、滋賀で行われているメシエマラソンに、ここ数年、参加しているという話で盛り上がりました。毎年参加しているので、現地では年に一度会う仲間がいて、今年も行って来るそうです。自動導入は、かつては違反だったのが、最近では、その部門も出来たこと、自己申告で認定書がもらえること、最高90個ぐらい見る人もいること、等々、メシエマラソン当日の様子をいろいろ聞かせていただきました。今年から東日本も開催されるので、私も一度くらいは参加してみたいなと思いました。かみのけ座辺りのメシエ天体でもほとんどの場所を憶えているので、数を稼ぐのは簡単そうですが、いて座付近の低空のメシエ天体を明け方の薄明の中、次々と入れなくてはならないことを考えると、私は70から80個ぐらいが限界かも知れないと思いました。

花立山を降りると
道の駅「みわ」があります。
道の駅「みわ」の中心は、
ふるさと館 北斗星。
北斗星の中には、北斗庵や
満天トイレなど、星づくしです。

宿泊したログハウスの前に並んで記念撮影。

そろそろ帰ろうということになり、昼頃、ログハウスを退去しました。みんな、帰りの方向はバラバラで、山本さん夫婦も白子方面に写真を撮りに行くというので、私は、池谷さんを途中まで乗せて帰ることにしました。

花立山を降りて国道293号に出ると、すぐに道の駅「みわ」があります。昨晩、北川さん道の駅に寄ってみると良いと言われていたので、寄ることにしました。この道の駅には北斗星というふるさと館があります。車を駐車場に停めて北斗星の入り口に向かうと、美スターのメンバーがたむろっていました。トイレに行ってみたらと言われ、北斗星の入り口を入ると、満てんトイレという看板がありました。トイレの建家は天井板のない吹き抜けになっており、屋根裏に北斗七星とオリオン座の星と星座絵が描かれていました。そして、男子トイレ、女子トイレの入り口にそれぞれ、外国映画の俳優の顔写真が無数貼られた看板が設置されていました。意味が判らず、戻ってみんなに聞くと、映画の有名俳優だからスターでしょうと、映画スターを星にもじってあったのでした。

そんなこんなで、今回はあまり真剣には星を見ませんでしたが、星の話づくしで楽しい新年星見会でした。空はそこそこですが、雪も凍結路もないので、来月も集まって、今度はログハウスを借りずに一晩中、星見をすることにしました。


2000/02/11


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