ネス湖探検記
私は未確認古代生物様動物、未確認飛行物体、未確認古代文明とか、けっこうあやしい話が好きです。2000年の夏に家族とスコットランドに旅行しました。もちろん、上記私の嗜好に鑑みて主要な行き先がネッシーで有名なネス湖になるであろうことは説明の必要もありますまい。もちろん、私とてscientistのはしくれ、ただ行って「いないじゃん」ですますようなことはいたしませぬ。ちゃんと仮説を用意して、それの検証に行ったのです。
1999年頃、M.Baigentの「Ancient Trace」という本を読んでいて、カナダでCaddyと呼ばれている海辺で目撃されることのある、馬に似た顔を水面からだし全長が10m前後の未確認生物の話を見つけました。もしそのような生物が北の海に生息しており、ときおりネス湖まで迷い込むのであれば、可能性がなくもなかろうというのが、私の仮説です。ネス湖自体は何度も大掛かりに調査されており、未確認の大型生物が未確認のままで生息することはそれほど容易ではないだろうと想像できます。ただ、迷い込むためには、迷い込む道が、シャイな大型未確認生物にとって障壁にならないものでなければなりません。
さて、どうなりますやら。
私が住んでいるのはイングランド南部ですので、Gadwick空港からEdinburgh空港まで飛行機で飛び、そこからは車で移動しました。出発点はEdinburghです。この写真は市の中心部にあるScott Monumentという目立つ建物です。
Edinburghから、あちこち寄り道しながらネス湖の東端に位置する町、Invernessにようやく到着しました。地図を見ればわかることですが、ネス湖と海をつなぐネス川はInvernessの町のど真ん中を流れています。橋の上から川を見ても水深もあまりなさそうです。ホテルはこのネス川のほとりでした。川のほとりのお城では、イングランドを相手に壮絶な内戦をやっていた頃のスコットランド軍兵士の体験ツアーみたいなものがあって、イングランドがなんぼのもんじゃ、と日ごろの恨みを転嫁できる体験もできました。
到着した翌日、遊覧船でネス湖に突入しました。もしかするとネッシーが突然現れるかも知れないと、カメラを握り締めて。
何と、遊覧船はカレドニア運河(ネス川とほぼ平行してネス湖に続く)を通ってネス湖へと向かいます。これは、運河です。この運河は1800年のはじめ頃に作られたものでネス湖等の湖をつないで北海と大西洋間の通行を可能とするものです。
ネス湖に近いところにある水門です。ここで、1.3mの水位差を吸収します。
いよいよネス湖に突入しました。ネッシーよ、出てこい!
ネッシーよ、出てきて!
ネッシーさん、お願いだから出てきてちょうだい!
ネッシーさん、いいものあげるから出てきてください。
そのうち、晴れ間もひろがりのどかな風景が・・・・
有名なUrquart城に着いてしまいました。
お城ではバグパイプ吹きが、ネッシーに会えなくて落胆している観光客を慰めてくれました。(ちなみに、バグパイプ吹きはかっこいいですね。昔の軍隊の中でも特別な地位にあり、戦の時には戦場にあって不動で最後まで吹き続けたのだそうです。)
この後、バスでネス湖エキシビジョンセンターへ行き、ネッシーに関するプレゼンを見ました。過去のいろいろな話やら今までの調査の結果やら、まとめていました。やはり、大型生物が生息するには、食物が少なすぎるようです。やっぱりいないか、とか思いながら最後の部屋に足を踏み入れた瞬間、ありました、ありました、ネッシーグッズの山。売店には何でもありました。
世の中、こんなものかと納得しながら、Invernessを後にしました。外国からの観光客は結構多く、まさにネッシーの経済効果はこの地域には重要なものであると思えました。
最後に私の仮説、ネス川がInvernessの真ん中を通っており、ネス湖との間には堰のようなものもあり(運河を通す時に作られた?)、ネス川をシャイな大型生物が通過することはあるまいと思いました。また、ネス湖はカレドニア運河の一部として少なからぬ船舶の通運も200年程度あり、今は湖に沿って交通量の多い道もあり、人家も少なからず、そのうえ食物が少ないとくれば、何をこのんでCaddyのような未確認大型生物がこんなそうぞうしくおいしいところのないところにくるだろうかというのが、私の結論です。しかし、ネッシーの話を広めた人は、確実にこの地域の経済には貢献しています。えらい。
昔、オランウータンの骨と人骨を組み合わせて人類と猿人の間(missing link)を発見したと、ピルトダウン人をでっち上げた話といい、ネッシーのあの有名な写真のでっち上げといい、英国には変なでっち上げを嗜むインテリがいるようです。皆様、だまされないように!