英国生活事情その3 医者、歯医者、散髪屋
さて、英国生活事情もいよいよクライマックスです。綺麗事はさておき、海外で生活するに当たって、一番問題になるのは健康状態が思わしくないときの対処ですね。特に典型的な酒飲み中年の健康パターンを踏襲する者にとって、お医者さんは「悪くなったときにいく」ところではなく、「日ごろから継続的にお世話になる」ところなので、避けて通るわけにはいかないのです。日本国内だって、引越しするたびに医者、歯医者、散髪屋を探さなくちゃなりません。当たりはずれがあるのは世の常、何とかはずれに当たりませんようにと、祈るような気持ちで探すものですが、これが海外でやらなきゃなりません。
7.医者
英国にはNHSと呼ばれる公的医療サービス機関があり、各地に病院、診療所を持っています。基本的に医療費はかかりません。旅行者も応急処置はしてもらえます。医者は診療所にいるGP(ファミリードクター)と病院にいる専門医に分かれます。居住すると、居住する地域で決まっている診療所に登録します。このときに簡単な健康診断があります。なにかあると、まず診療所に行き、そこで手に負えないときには紹介状を書いてもらって専門医のいる病院にいきます。このような庶民相手のNHSのほかに、お金持ちを対象としたプライベート医療というのがあって、医療費は全額自己負担になります。診療所では薬剤は処方箋のみで、処方箋をもって薬局(Chemist)に行きます。こちらは一定の所得があれば、薬の種類、量にかかわらず一定の料金を払うことになっているらしく、いつも一定額を払っていました。留学生等所得のない人は(主婦も??)ただです。薬をもらうところで、払うのかと聞かれるので、払うと宣言して払っていましたが(稼ぎのない東洋人だと思われるのがいやなので、意地張って)、払わないと言えば別に証明も何もなしで払わないですんだようです。
さて、私は典型的な酒飲み中年なので、出国する前にかかりつけのお医者さんに紹介状(現状の説明とおこなっている治療の説明)を書いてもらいました。それをもって登録した診療所に(登録時に担当と決まったGPの先生の)アポとって行くわけですが、紹介状を差し出して、一応前の晩に準備した説明をすると、薬のデータブックを取り出してじーっと考え込んで、その薬は同じものがないので、近いものを試しましょうと言うことになりました。結局、薬の効果を見ながらあれこれ試していたのです。そもそも平静な状態で血圧の測定が出来るまでには1、2年かかりましたので、それまでは何をやっていたかわからないのですが。一度、急に薬が変わったので、後で今までのものと違いますがと言ったところ、処方箋を書くときに薬の名前を間違えたというのがありました。「ごめん」で終わりでした。そのうち薬も固定して、血圧もそこそこの値で安定して・・・。帰国した後、英国で飲んでいた薬をお医者さんに見せたところ、日本じゃこんな量の薬はない(あるのは半分の量まで)とあきれられました。
8.歯医者
歯医者もプライベートと保険(NHS)と両方あります。同じお医者さんが、どちらで治療しましょうかという感じだったと思います。これは日本でも、保険適用範囲でいくか保険外でいくかの選択を聞かれるようなものですね。こちらはNHSでも無料ではありませんでした。歯医者さんも基本的には登録して予約してという手順だったと思います。腕は結構よかったと思います。はじめに診察して、その時点でこの治療は何回で行いますというのを決めて、そのスケジュールにそっておこないます。日本と比べて半分くらいの回数で、手早く治療してもらえたように思います。あるときX線写真を撮って、根に空洞があるので治療したほうがいいとのことで、近くのNHSの病院を紹介されました。入院なしの手術が必要とのことで(日本では入院になるようですが)、そのための事前の検査(手術に耐えられるかどうかの検査みたいでした)と手術の日程が決められました。半年後くらいでしたが、しばらくするとスケジュールが混んでいるので3ヶ月遅らせるという連絡がありました。そうこうしているうちに帰国することになり、結局この手術は受けませんでした。帰国後、日本の歯医者さんにかかったときにこの話をすると、日本ではその手術は通常は行わないとのことでした。日本人とヨーロッパ人では骨格が違うので、危険なんだそうです。ふーっ!
9.散髪屋
町で目に付くのは男性用か女性用かよくわからないヘアサロンみたいなものでした。現地の人に聞いてみると、通常男女どちらもやるとのことで予約していくとのことでした。中に1件、看板にTokyoとかNewyorkとか支店のあるようなことを書いているところがあったので、飛び込んで予約が要るかどうか聞いたところ、今ならできるよということで、たっぷり伸びたのをカットしてもらいました。行って間もないころだったので、店員のおにいちゃんが何を言っているのか全然わかりません。とにかく短くカットしてくれと言ったところ、向こうもきれたみたいで、よっしゃてなもので、思いっきり短くカットされた挙句、最後に髪を立ててくれました。次に電話帳でいろいろ調べて、Barberという名前がついたカットハウスみたいなところを見つけました。ここは安いせいか、髪を突っ立てるような野蛮なことはありませんでした。
医者も歯医者も散髪屋もロンドンまで行けば、日本人が日本人相手にやっている「お高い」ところがあります。田舎で生活しようとしたら、よほど健康か、現地の人と仲良くして必要な情報が集められるようにしておかなければ、なかなか難しいところがありますね。