英国生活事情その2

 

4.飲み物

 飲み物といえばアルコールを含む命の水ですが、その前にアルコールを含まない水の話もすこししておきましょう。水道水は一般的には硬水で、そのままは飲みませんが(少々飲んでもなんてことはありません)、スコットランドに行くとおいしい軟水が出るところもあります。また、シャワーとかトイレの水は中水道で、上水道とは別に供給されています。飲料水はスーパーでそれなりのスペースを占めて売っています。米国資本の飲料はどこにいっても同じものがあります。

 さて、私の主食のビールですが、大きく分けて2種類が売られています。ひとつは英国独自の製法によるbitterあるいはaleと呼ばれるすこし色の濃いものです。もうひとつはヨーロッパの大陸側からくるlager(日本のビールもほとんどこれですね)です。bitterももともとはオランダあたりから製法が伝わったようですが、英国独自の風味を持つものに変化したようです。メーカーはたくさんあり、それぞれが自らの伝統の味を守っているようで、ビール飲みにはうれしい限りです。アルコール度数もいろいろです。値段もいろいろですが、日本みたいにビール飲みをいじめるような税率ではないため、日本の感覚で言えば全体に安い感じがします。

 ビールの棚のとなりにciderと書いたビン、缶がスーパーでは並んでいます。これがりんご酒です。味は日本でおなじみのサイダーに近いものですが、ビールと同程度のアルコール度数があり、お値段もビール並です。いろいろな種類がありましたがビールで忙しくて極めるには至りませんでした。よくわかりませんが、酒飲みgentlemanはあまりこれは飲まないようです。

 食事の時に飲むのはワインですね。英国内では、南西部の1銘柄(たしかBacchusという銘柄の白でした)を除いては国内では生産していません。ワインはすべてヨーロッパ大陸をはじめあらゆる場所から来ています。種類も豊富で値段も手ごろで選択に迷います。

 極め付きは、やはりスコッチですね。日本にも輸入されているメジャーなものからスコットランドへ行かないとないものまでいろいろあります。当然ながらストレートでしか飲みません。

 

5.衣類

 日本人とは体型が違うので合うものはないのではとか、いろいろありますが、最近の日本人の体型が変化してきたせいか、あまり違和感はありません。サイズの表示は異なるので、自分のサイズが何なのかは確かめる必要があります。靴も同じです。靴はClarksというメーカーのものが気に入って、今でも愛用しています。サイズは大きめなのですが、足によくフィットします。

 

6.電車通勤

 私は車は運転しないので、どこに転勤しようが、電車とバスと歩きで通勤してきました。英国でもそのスタイルを踏襲しました。住んでいたのはChichester、仕事場はHaventにあり、電車に乗るのが20分弱、歩くのが両方であわせて30分、あわせて片道50分でした。行く前は、英国の鉄道はイタリア並みに運行時間にルーズだとか、いろいろな話がありましたが、それほどひどい目にもあわず、まあなんとか通勤できました。時間も(数分程度は無視できる誤差と考えると)たいていは正確です。一度だけ、一本前の車両が故障だとかで、通常20分のところが2時間になったことがありました。困るのは遅れよりも電車運行のキャンセルです。特にお休みのシーズンには、「運転士が足りないので次の電車はキャンセルされました」なんとことを平気でアナウンスします。

 英国南部の鉄道のたいていの車両はドアが手動なのですが、それも外側にしかノブがついていません。それでは、電車を降りるときにはどうするかといえば、窓を開けて外側に手を出してノブを回すのです。窓が硬くて開かないときには結構スリリングです(他に人がいたらたいてい助けてくれます)。プラットホームでのアナウンスもはじめは何を言っているのか全くわからなかったのですが、慣れとは恐ろしいもので、1年もたてば何を言っているのかわかるようになります。私にとって当初課題であったのは、電車を間違えないということです。ChichesterからHavantへ行くのは、どれに乗ろうが間違いはないのですが、Havantから帰るときにはBrighton方面(Chichester方向です)へ行く電車とLondon方面に行く電車を見分けなければなりません。当然ながら時間だけではあてになりません。一度だけ、行き先表示板で確認し、アナウンスで確認して乗り込んだにもかかわらず、London方面に行ってしまったことがありました。その後、電車の先頭に表示されている数字で正確にどの電車なのか識別できることがわかり、間違えることはなくなりました。

 電車通勤での楽しみは、英国南部の田園風景を眺められることです。中でも密かな楽しみは野うさぎとか雉とか鹿とか野生の生き物を探すことでした。ある冬の朝、狐が尻尾を立ててキッとこちらを睨んでいる姿を見たときには、あまりの凛々しさに感動してしまいました。

 

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