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5.
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使用部品、調整
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5.1
使用部品
| 真空管:50BM8 RCA製 他メ−カ−
50BM8のほか、ヒ−タ−電圧が異なる6BM8も同様に使えます。通常はトランスの6.3Vからヒ−タ−を供給しますが、このGS115の場合2系統しかなく、C電源用に倍電圧 ”両波” 整流回路として使っていますので倍電圧 ”片波” 整流回路へ変更し、グランド側の6.3Vで供給します。あるいはこのまま2本直列にして12.6Vとして結線しても不都合は起きないと思います。電圧が低いのでヒーター耐圧は超えません。
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| FET:2SK30ATM 東芝製
最も一般的で、かつ飽和特性のよい2SK30を使いました。他の品種を使う場合ですが、この回路構成の場合、最大定格が50V以上あるもので、飽和特性のよい接合型FET(=J−FET)を選択してください。FETなら何でもよいわけではありません。規格表に定電流用途としているものを選びます。
Idssがこの回路電流以上のランクを選んでください。付加した定電流回路にはバイアス▲2.25V付近において6BM8(3)差動片側で約0.8mA程度流れますので2本分で1.6mAが流せるように、2SK30ATMのバイアス抵抗を設定します。あらかじめ何本かの2SK30ATMのIdssを測定し、3〜4mA程度のものをえらんで1.6mA程度の定電流になるようにバイアス抵抗を調整しておきます。
(Idss=15V位の定電圧電源を用意してゲートとソースをショートしドレイン−ソース間に電圧をかけて流れる電流を測定する)
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| ダイオ−ド:
ERB83−006 富士電機製 ショットキ−バリアダイオ−ド 60V 2A 0.58Vfm
ERB43−06 富士電機製 ファーストリカバリダイオ−ド 600V 0.5A
ERB43−06はできれば800V耐圧のERB43−08、ERB44−08をお使いください。各社の同等品で可能です。
参考:ダイオードの種類の意味
ショットキ−バリアダイオ−ド:
順方向(降下)電圧の低い種類のもので、半導体アンプや電池等の低電圧回路_用途向けの作られたダイオ−ドです。耐電圧が高くなるように(100V以下が多い)改良が続いています。
ファーストリカバリダイオ−ド:
整流時に電流が順方向から逆方向(マイナス側)へ変わる際のリカバリ時間が短いものの総称です。(長いと瞬間的にショート状態となり、スパイク電圧が発生しノイズになります。)
大雑把ですが用途によって、
@ 主に効率を高くする用途向けに作られたものと、
A ノイズが小さくなるように作られたものの2種類があります。(600V以下が多い。YG912S6)
一般整流ダイオ−ド:
オ−ディオには通常使いませんが、ノイズやロスを気にしない、価格の安い一般向け用途です。
富士ダイオードカタログをご覧ください.
多くの方が、ダイオ−ドはみんな同じだ、と思っていらしゃいますが、用途によって使い分けします。整流管でないと音が悪いというのは、昭和40年代にダイオ−ドが出始めの頃、一般向けダイオ−ドしかなかった時代に一般整流ダイオ−ドを使った記憶が固定概念になっているんでしょう。一般向けのダイオ−ドを真空管アンプに使い、スパイクを載せたままでは、音が悪いのは当たり前です。(半導体アンプは皆ダイオ−ドでしょう?)
整流管のメリットは、B電圧を遅らせて印加したい時ディレイ用途として意味がありますが、内部インピーダンスが大きく最大出力時に出力管のプレート電圧を下げますので、負荷線が左へずれます。結果的に頭がつまり2次歪が多くなる傾向があります。で、音がにぎやかになりますので整流管の方が音が良く聞こえるという錯覚を起こすのです。同様に電池で駆動すると、音がつまらなくなるのは、これと逆の理由かと思います。
整流管と同じような音が必要ならダイオ−ドのあとに200Ω位の抵抗を入れればよいのですが.... (^^; ナンカ
ヘンナハナシ。
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| トランス:
タンゴ旧製品のストックがあってU15−5k(なんとオリエントコア)を使っていますが、ISOのFE25−5等1次側5Kオームのものが相当です。パワートランスのGS−115は現行品ですが、色が灰色で旧製品と合わず困ったものです。ISOになった際、塗装工場がかわり、黒の塗装が難しくハンマーネット塗装の灰色になったときいています。廉価でよいものがなかなかありません。価格が安いものは磁気シ−ルドがなかったりして、総合的に見ると安くはなかったりします。パワ−トランスコアの外側に磁気シールドが巻かれているか、コイルの外側に銅版のショートリングが巻かれているかよく見てください。橋本トランスなどはファラディ−シ−ルド状のものがあり、十分手がかけられています。価格が高いものはそれなりの理由があります。
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5.2
調整
| 差動段が定電流を使っていますので上下波形のバランスゲイン等調整が不要ですので、基本的には出力段のアイドリング電流を調整するだけです。申し訳ありませんがこの回路にはC電源のバイアス用ボリュ−ムが書いてありません。C電源を6.3V+6.3Vで、倍電圧整流するとちょうど▲32V位発生しました。この電圧で15mA〜18mA位アイドリングが流れる6BM8を10本くらいの中から選別した上でペアチューブに組み合わせ使用しました。新しく買われる場合はペアチューブをお店で選んでもらい、回路にバイアス調整用のボリュームを追加してください。
なお回路上、倍電圧整流のあとに、ダイオードが入っているのは、0.6V程度バイアスを下げた為です。6BM8のアイドリング電流は20mAを超えると無信号時にB電圧が315Vほどになり、定格7Wぎりぎりになります。また12mA以下になりますと、最大出力になる前にクロスオーバー歪が発生します。プレート損失が小さいので気をつけて調整してください。7Wを超えますと、すぐにプレートが赤熱してきます.。
6BM8(5)は大変優れた出力管なので、5極管部だけ独立させプレート損失を、せめて12Wくらいまで大きくしたものがあればよかったんですが、すでに6BQ5があり商業的に無理だったんでしょうか。残念です。MT管では6BQ5/7189A以外は淘汰されてしまい、コレといった出力管がなく、選択の余地がないのがさみしいです。6AQ5(6V6)や、6AR5(6K6)の場合は”必要なら”GT管を選択せよ”というわけです。TV球は低圧大電流で具合がいいんですが、プレート電圧や特にスクリーンが低いものが多く、トランスも3.5K程度が欲しくなり、使いにくいわけです。
でわでわ
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