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last update 05/06/06

 

 

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5.

使用部品、調整

5.1 使用部品


真空管:JAN 6080 PhilipsECG製 

使用したのはJAN仕様のECG製ですが、ユニット間のばらつきが大きく半自己バイアスになってしまいました。東芝の規格を見ると、設計に対する許容値という見慣れない項目があり、

μ=1.4〜2.6
gm=5800〜8200μS

と、ひどいものでスベトラーナはそっけなく

gm=5500μS

としています。

結局、単管でペアーになるような2ユニットをそろえることは困難で、単管プッシュの場合、過去の製作例が自己バイアスなのもうなずけます。

6BX7をオーディオ用にシングルユニットにしたのも、プレート許容損失の拡大が目的というより、製造上ペアマッチを作ることが困難で、ペアチューブにする必要があるオーディオ用として簡便だったからでしょう。封入してしまうとバラツキを補正するのが不可能ですから。

6本ほど見てみたのですが、2ユニットが20%以内にそろっているものは皆無でした。
各々が上記の上と下の許容値いっぱいで、ばらばら、というイメージです。
Ep=250V、Rk=330Ω、G1=▲140VあたりでIp=10mA〜50mAくらいと散々です。
日本製ならもう少しいいのかもしれません。

 







FET:2SK389GR 東芝製

ばらつきの多いFETを製造工程上でペアマッチとしたデュアルFETです。これ以外は入手が困難だと思います。@100前後です。なければ2SK30ATMなどの低雑音FETからIdssが同じくらいのものを選別します。
この初段のオフセット誤差がそのままファイナルのバイアス誤差となって効いてきますのであまりに異なると、トリミングVRで取りきれません。(ドライバ段はDCアンプですから)

なお入力には最終的にフィルムコンデンサ(0.47μF程度)を入れました。プリアンプや入力機器に直流バイアスが乗っている場合もありますので直流カットコンデンサが必要です。有害となる場合もある、不要な20Hz以下をきる目的でもあります。

このため100Hzの方形波が右下がりになっていますが特性が悪いわけではありません。気になる方は大きめの(2μF以上の)フイルムコンデンサを入れてください。ドライバ段までのアンプ自体はDC仕様ですので実特性は1Hzでも、きれいな方形波が出ます。
(あたりまえですね。 ^^)


Tr:2SA1480 三洋製

テレビ用の高精度垂直出力用?のトランジスタで高耐圧(300V以上)、低Cob(3PF前後)、hfe=40〜300前後,Pc=7W(25℃)、Ic=0.1A、ft=150MHz程度のTrです。あまり品種は多くなく、選択は限られます。同特性でパッケージにより型式違いのものが3種類ほどあります。入手しやすいものはほとんどが三洋製です。 @100前後で入手できます。

裸特性(特に帯域幅)を決める重要なキーパーツで、オーディオ用の出力トランジスタではCobが大きく使用に耐えません。6080、2A3あたり以外には300Vの耐圧を必要としません。
200Vクラスのものはたくさんあります。

Tr:2SC1222

耐圧が50v以上、250mWクラスの小電力用シリコンTr。多品種ありますのでどれでも使えるはずです。2sc1222は手持ちのジャンクです。

*通販の場合、半導体類はサトー電気で入手できます。

 






ダイオ−ド:

整流用
ERB83−006 富士電機製 ショットキ−バリアダイオ−ド 60V 2A 0.58Vfm
ERB43−06  富士電機製 ファーストリカバリダイオ−ド 600V 0.5A

ERB43−06はできれば800V耐圧のERB43−08、ERB44−08をお使いください。各社の同等品で可能です。

2SK389、2SC1222カスコードバイアス用チェナー
5.9V×2=11.8Vに温度保障としてSiダイオード分0.6Vを加えて、12.4Vになっています。本来は最大振幅を得るため、電源電圧のほぼ中間付近を設定します。当機も当初は電源電圧を24Vとしていましたのでその中点になっています。


★参考:ダイオードの種類の意味(再録)

ショットキ−バリアダイオ−ド:
順方向(降下)電圧の低い種類のもので、半導体アンプや電池等の低電圧回路_用途向けの作られたダイオ−ドです。耐電圧が高くなるように(100V以下が多い)改良が続いています。

ファーストリカバリダイオ−ド:
整流時に電流が順方向から逆方向(マイナス側)へ変わる際のリカバリ時間が短いものの総称です。(長いと瞬間的にショート状態となり、スパイク電圧が発生しノイズになります。)
大雑把ですが用途によって、
@ 主に効率を高くする用途向けに作られたものと、
A ノイズが小さくなるように作られたものの2種類があります。(600V以下が多い。YG912S6)

一般整流ダイオ−ド:
オ−ディオには通常使いませんが、ノイズやロスを気にしない、価格の安い一般向け用途です。

 

 

トランス:
チョークトランス : TANGO 0.7H500 タンゴ旧製品のストック
出力トランス   :TANGO U15-5K タンゴ旧製品のストック
電源トランス   :TANGO PT261 タンゴ旧製品のストック

ストックばかりで申し訳ありませんがいまでは代替品が多々あります。

 


5.2 調整





















 設計がよければ本来、調整は必要ないものですが、デバイスの個体差を回路設計でカバーできない場合は、調整が必要になります。
 民生品の場合はあらかじめ仕様書を取り交わす時に選別品での指定か、あるいはランク分けの細分化でかなり手数が省けるのですが、一般市場から調達となりますと、最悪、この選別外のものが出回ることもあり規格仕様の最大最小両範囲のものしか入手できないことになります。 日本品の場合は極端ではありませんが、外国製品は期待値を予想すると、調整範囲外にもなりかねません。

 ドライブ部分の調整に関しては、配線さえ正確であればほとんど設計どおりの電流電圧値となります。2SA1480のエミッタ側VR1、VR2を中点に置き、6080のバイアス電圧を所定の値になうよう設定してから(半固定バイアスで、グランドから125V付近)6080をさしてカソード電圧を測定し、各々の電流値を40mA前後になるよう調整します。
 この場合、大雑把な調整は、少し面倒ですが6080のカソード抵抗を交換して調整しました。標準で470オームをつけて置き、電流値の小さいものに対して、470Ωを330Ω、240Ωへ変更して、単管内の両ユニットで、同一のバイアス電圧でほぼ同じくらいの、プレート電流が流れるように半自己バイアス抵抗を調整するわけです。大体同様になったところで、2SA1480のバランス用VR1で上下の波高が同じになるようにトリミングし、共通エミッタに直列に入っているバイアス用VR2でバイアス電流の微調整を行うわけです。

NFBは好みですので、環境に合わせて調整いたします。

no-NFBで DF=2ほどありそのままでも使えてしまいます。波形状況は2章をご覧ください。