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last update 05/06/06

 

 

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5.

使用部品、調整

5.1 使用部品


真空管:2A3 SOVTEK製 

 使用したのはSOVTEK製の2A3です。ペアチューブが8000円前後で入手できます。
調整時の特性は2A3と同様な設計値で支障ありませんでした。


 手元にあるのは2000/01製と2001/01製です。 初期はヒーター断線事故があったと聞かれましたが、すでに改良されたようです。

 オリジナルRCA2A3は初期が1枚プレートでしたが、2枚プレート型にかわりました。ソヴテック2A3は300Bタイプの1枚プレートです。フィラメントは頭頂部の雲母板より四つのばねでテンションを掛けて保持しています。 下部雲母板の真ん中からM字型に片側2往復ずつ折り返され両端部同士をショート(=並列に)して2.5Vを給電しています。 まだ入手していませんが、同社6B4G形はこれを直列にしているものと思います。

 プレートは幅33mm、縦43.5mm、放熱翼12.5mmと、やはり大型です。 300Bと比較しますと幅は同値で、長さは約10mm足りないだけです。 バブル自体がスリムなので最大定格は300Bより2〜30%下回るとは思います。 規格が公表されておらず、従来の2A3のPd=15Wがメーカー保証値なのでしょう。 設計時は従来の2A3として行います。

   

      SOVTEK 2A3
頭頂部雲母板より四つのばねでフィラメントを保持し、下部雲母板からM字型に片側2往復ずつ折り返し両端部同士をショート

電極保持はステムタイプ
2個のゲッターリングはプレートへ結びゲッターそのものは下側ステムへ飛ばしている(白濁)








6080アンプより再録
(同じような回路構成で設計値が異なっているわけです。)

FET:2SK389GR 東芝製

ばらつきの多いFETを製造工程上でペアマッチとしたデュアルFETです。これ以外は入手が困難だと思います。@100前後です。なければ2SK30ATMなどの低雑音FETからIdssが同じくらいのものを選別します。
この初段のオフセット誤差がそのままファイナルのバイアス誤差となって効いてきますのであまりに異なると、トリミングVRで取りきれません。(ドライバ段はDCアンプですから)

なお入力には最終的にフィルムコンデンサ(0.47μF程度)を入れました。プリアンプや入力機器に直流バイアスが乗っている場合もありますので直流カットコンデンサが必要です。有害となる場合もある、不要な20Hz以下をきる目的でもあります。

このため100Hzの方形波が右下がりになっていますが特性が悪いわけではありません。気になる方は大きめの(2μF以上の)フイルムコンデンサを入れてください。ドライバ段までのアンプ自体はDC仕様ですので実特性はきれいな方形波が出ます。


Tr:2SA1480 三洋製

テレビ用の高精度垂直出力用?のトランジスタで高耐圧(300V以上)、低Cob(3PF前後)、hfe=40〜300前後,Pc=7W(25℃)、Ic=0.1A、ft=150MHz程度のTrです。あまり品種は多くなく、選択は難しいです。同特性でパッケージにより型式違いのものが3種類ほどあります。入手しやすいものはほとんどが三洋製です。 @100前後で入手できます。

裸特性(特に帯域幅)を決める重要なキーパーツで、オーディオ用の出力トランジスタではCobが大きく使用に耐えません。6080、2A3あたり以外には300Vの耐圧を必要としません。
200Vクラスのものはたくさんあります。

*通販の場合、半導体類はサトー電気で入手できます。

 






ダイオ−ド:

整流用
ERB83−006 富士電機製 ショットキ−バリアダイオ−ド 60V 2A 0.58Vfm
ERB43−06  富士電機製 ファーストリカバリダイオ−ド 600V 0.5A

ERB43−06はできれば800V耐圧のERB43−08、ERB44−08をお使いください。各社の同等品で可能です。

★参考:ダイオードの種類の意味(再録)

ショットキ−バリアダイオ−ド:
順方向(降下)電圧の低い種類のもので、半導体アンプや電池等の低電圧回路_用途向けの作られたダイオ−ドです。耐電圧が高くなるように(100V以下が多い)改良が続いています。

ファーストリカバリダイオ−ド:
整流時に電流が順方向から逆方向(マイナス側)へ変わる際のリカバリ時間が短いものの総称です。(長いと瞬間的にショート状態となり、スパイク電圧が発生しノイズになります。)
大雑把ですが用途によって、
@ 主に効率を高くする用途向けに作られたものと、
A ノイズが小さくなるように作られたものの2種類があります。(600V以下が多い。YG912S6)

一般整流ダイオ−ド:
オ−ディオには通常使いませんが、ノイズやロスを気にしない、価格の安い一般向け用途です。

 

 

トランス:
チョークトランス :ノグチ   PMC-518H
出力トランス   :TANGO  FX-40-5 タンゴ旧製品のストック
電源トランス   :TANGO  MX-280 タンゴ製


5.2 調整





 ドライブ部分の調整に関しては、配線さえ正確であればほとんど設計どおりの電流電圧値となります。
 2A3のバイアス電圧を所定の値になうよう設定してから(70V付近)2A3をさしてカソード電圧を測定し、各々の電流値を40mA前後になるよう調整します。
 2SA1480のバランス用VR1で上下の波高が同じになるようにトリミングし、共通エミッタに直列に入っているバイアス用VR2でバイアス電流の微調整を行います。
 ペアチューブを使う限り簡単にバランスするはずです。