平成24年(2012)下半期


孫ら往に足にくっきりサンダル痕


高山滝不動巡り
滑め飛沫三滝それぞれ水に相


唐櫃巡行
笠翳し大船鉾の櫃に従く


祇園会や裃の列ビル街に


町衆の供す冷やし茶笠停まる


椀の鱧沈める白さ星出づる


青嶺成す焼岳大正遥かなり


四時起きや連れ立つ小さき登山靴


岩滴り洞に点滅ひかり苔


汗みどろ塩飴貰ふ七合目


古歯刷子こそぐ靴泥夕焼雲


夏休み徒食の我が家繁昌す



火打山3句
朝焼けて小屋主晴を疑ひぬ


急く教師生徒は数多雷光る


雷走るや山頂に積む礫ひとつ


森の昼流る蜻蛉に風を聴く


雨戸繰るや幽かに匂ふ今朝の秋


心臓を病むといふ文桃を剥く


金柑や帽子が並ぶ園児バス


軒下に雀の骸
(むくろ)曼珠沙華


水は往き紅葉の錦なだれ落つ


用水に晒す橡の実手の白さ


運動会笑顔の涙写しけり


立教鹿島槍山荘3句
新雪の高嶺描く背にショパン鳴る


煌きのワイングラスや炉火熾
(さか)


残照や雪踏む長き坂の上


閉ざされて見返る目射し冬北斗


憂国は勇むにあらじ陸奥は冬


定まらぬ針路右偏す冬の海



ブルージュ2句
老樹とて灯せば聖樹鐘響く


子の化粧楽しむ母や聖夜劇


焼き芋の遠き呼び声多喜二読む


助っ人はバス待ちし人落葉掃き


書に挟む机上に散りし黄の一葉



ノロウイルス
腹の風邪仙人暮らしの一日得し


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