詰将棋と似ているが、「玉方に持駒制限あり」、「詰上がり攻方駒余り可」という条件をつけた問題をそろえた。
詰上がりに攻め方の駒余りを許す詰将棋を集めた本には、本間博の「妙手に俗手、駒余りもあり! 実戦詰め筋事典」 (マイナビ将棋文庫) がある。 加えて玉方の持駒を制限した詰め筋をそろえた本には、 同じく本間博「妙手に俗手、駒余り、持駒制限もあり! 実戦詰め筋事典 レベルアップ編 」がある (他にも別のプロ棋士の本で同様の考えで作られた詰将棋集があったが忘れた)。 どちらが先かという詮索をしても仕方がない。ただ、縛りのきつい(伝統ルールの)詰将棋と比べると、自由な分だけ面白い筋が潜んでいるように思う。
Amazon で挙げられていた、出題の不備を図を入れて示す。
まず、p.123 の Q 107 を示す。
☖後手 なし | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
玉 | 一 | ☗先手 飛 | |||||||||
二 | |||||||||||
馬 | 金 | 三 | |||||||||
馬 | 四 | ||||||||||
五 | |||||||||||
六 | |||||||||||
七 | |||||||||||
八 | |||||||||||
九 |
次ページの p.124 の解答は、☗9一飛☖1二玉☗9二飛成☖1三玉☗2二竜まで
とあり、解説は次の通り。
☗9一飛が正解で☖1二玉に☗9二飛成で合駒が利かず☗2二竜まで詰み。(後略)
この解説には肝心なところがない。初手☗9一飛に対し、合駒が利かないという前提で2手めに☖1二玉と玉が逃げている。 この前提は誤りで、2手めに☖4一馬左または☖4一馬右で合駒が利く。ここが盲点だった。 先手は☗4一同飛成とするしかないが、☖同馬と取られてその後☗2二角と打っても☖1二玉でも☖2一玉でも逃れている。
次に、p.175 の Q 159 を示す。
☖後手 なし | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
香 | 一 | ☗先手 飛 | |||||||||
歩 | 香 | 二 | |||||||||
玉 | 三 | ||||||||||
馬 | 歩 | 四 | |||||||||
角 | 歩 | 銀 | 五 | ||||||||
歩 | 六 | ||||||||||
七 | |||||||||||
八 | |||||||||||
九 |
次ページの p.176 の解答は、☗5三飛☖2四玉☗5四飛成☖1三玉☗5三竜☖2四玉☗4四竜☖1三玉☗3三竜まで
とあり、解説は次の通り。
☗5三飛が正解で(中略)☗3三竜まで合駒がなく詰み。
この手順で3手めの☗5四飛成に対して☖1三玉ではなく☖3三玉とすれば逃れている。以下☗3四竜には☖同銀だし、☗5三竜には☖3二玉で、 どちらも有効な王手がかからない。 おそらく作者の頭には詰将棋で有名な竜ノコの形があって、無意識に3手目の☗5四飛成で竜の利きが3三にあると思い込んでいたのではないか。
なお、将棋盤の図は CSS を用いて作っている。
書 名 | 詰ます将棋 |
著 者 | 森 信雄 |
発行日 | 2018 年 11 月 1 日 初版第 1 刷 |
発行元 | 実業之日本社 |
定 価 | 1100 円(本体) |
サイズ | 文庫本サイズ |
NDC | 796 |
ISBN | 978-4-408-41506-2 |
その他 | 草加市立図書館で借りて読む |
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