北島忠雄 : 乱戦! 相横歩取り

作成日 : 2022-10-06
最終更新日 :

概要

「まえがき」から引用する。

相横歩取りは序盤早々から飛、角が盤上を舞う激しく、そして楽しい戦法で、 見事、技が決まった時の爽快感は数ある将棋の戦法の中でもトップクラスではないかと思う。

対応のかずかず

私は居飛車党で、横歩取りを促されたら取る。しかし、後手の対応としては 1. 相横歩取り、2. 3三角戦法、3. 4五角戦法 、などがあり、これらに対応するのは正直いって大変だ。そこでせめて相横歩取りにはきちんと対応しようとしてこの本を借りたのだが、 大変である。

北浜新手

本書の p.120 には次の第 113 図がある。

【第 113 図は☗5五玉まで】
 ☖後手 銀歩二 987654321
☗先手 飛銀桂二歩五
 
       
        
          
 

第 113 図以下の指し手
☖5四歩 ☗同銀成 ☖7八飛成
☖5四歩は(中略)北浜四段が指した新手。(中略)銀を引かせて☖7八飛成とした局面は、はっきり後手の勝ち筋だ。

北浜新手とは、この☖5四歩を指す。なお、別のサイトで別の手を北浜新手としている。この第 113 図の少し前の局面で、 6六にいる先手玉に対して後手が☖8六飛と王手をして先手が☗7六歩と中合をする手に対して☖7六同飛と取る手を北浜新手としている。

さて、☖7八飛成として本当に後手の勝ち筋かどうか、初段程度の私の棋力ではわからない。 実戦では☖7八飛成に対して先手は☗7四桂と詰めろをかけたが、その後、 ☖6五金☗4五玉☖3三桂☗3五玉☖3四歩と進んで実戦ではここで先手が投了した。 どうやら先手玉には即詰があったようだ。以下の手順は将棋ソフトの力を借りた。 ☖3四歩には☗同桂と取るのが一番手数がかかる。以下、 ☖2六銀☗2四玉☖1五銀☗3五玉☖2六馬☗4六玉☖7六龍☗5六銀☖同金☗同歩☖4五銀☗5七玉☖5六銀☗5八玉☖6七龍☗4九玉☖6九龍☗3八玉☖3七歩 以下詰み。

3八歩戦法

本書では、相横歩取りではないが後手が☖7六飛と横歩を取らず☖3八歩と打つ定跡を紹介している。 これは普通4五角戦法との関連で語られることが多いが (例:所司和晴 : 東大将棋ブックス 横歩取り道場 第三巻 4五角戦法)、 本書では4五角戦法については述べられていないのでこれが珍しい。p.220 では第 7 図の主な手を紹介している。

【第 7 図は☖4四角まで】
 ☖後手 歩 987654321
☗先手 角歩四
     
        
         

☖4四角に先手の応手は☗7七角、☗8七歩、☗7七桂の三通りが考えられる。

本書では☗8七歩に対しては p.229 でわずか一ページしか説明が割かれていない。手順は、 ☗8七歩 ☖7六飛 ☗7七銀 ☖7四飛 ☗3六飛 ☖2八飛である。ちょっとこの記述は弱い。 他の定跡書では、 《☗8七歩☖7六飛☗7七歩☖7四飛☗2四飛☖7七角☗同銀☖2四飛☗1五角☖2三歩☗2五歩☖1四歩☗2四歩☖1五歩》 以下の手順が紹介されている。たとえば、B級戦法の達人で紹介されているが、後手有利な手順しか出ていない。 先手有利な手順とするには、「居飛車党宣言!」
http://www.koichi.jp/shogi/yokofu/38fu.php
にある指し方がお勧めだ。

なお、本書によれば、☖4四角の対応については、☗7七角については☖同角成☗同桂☖8九角☗6八玉以下形勢互角、 ☗7七桂については☖3三金☗4四飛☖同金☗8七歩☖8二飛☗2八歩以下、後手持ちの分かれとしている。

図版

局面図は自作の 文字の回転と応用:将棋盤を用いている。

書誌情報

書名乱戦! 相横歩取り
著者北島忠雄
発行日2011 年 2 月 28 日 初版第1刷
発行毎日コミュニケーションズ
販売
定価1400 円(本体)
サイズ
NDC796
ISBN978-4-8399-3741-6
その他草加市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi