所司和晴 : 東大将棋ブックス 横歩取り道場 第三巻 4五角戦法

作成日 : 2022-09-26
最終更新日 :

概要

「まえがき」から引用する。

この戦法はプロ間ではやや無理筋とみられ指されなくなったのですが、 後手でも主導権を握れるところが魅力で、アマチュア間には非常によく指されています。

対応のかずかず

私は居飛車党で、横歩取りを促されたら取る。しかし、後手の対応としては 1. 相横歩取り、2. 3三角戦法、3. 4五角戦法 、などがあり、これらに対応するのは正直いって大変だ。そこでせめて4五角戦法にはきちんと対応しようとしてこの本を借りたのだが、 大変である。

異なる見解

本書の p.27 には次の第7図がある。

【第 7 図は☖3二同銀まで】
 ☖後手 金二香歩二 987654321
☗先手 飛角金銀桂歩三
      
 
         
        
          
      
 

第7図から①☗5四歩と合わせていくのが本筋。(中略)後手は歩が利かないこの瞬間に☖5九龍と回っておく。 続く☖5六香はこの一手。この手で☖6五金は、☗6六金☖5六香☗4六玉で後手劣勢となる。

一方、☗5四歩が疑問手という解説もある。居飛車党宣言! というサイト
http://www.koichi.jp/shogi/yokofu/45kaku01.php
を見ると、次の記載がある。

▲5四歩は後手玉に迫るなら最も早い攻めですが疑問手。以下、△5九龍▲5八桂△4五金と進み先手敗勢となります。以下▲5五金と受けるのも△5四香で一手一手。5筋に歩が利かない瞬間を咎められた格好です。

上記の引用で、△5四香とあるのは正しくは△5六香だと思う。さて、ではどちらが正しいのか。 上記の解説を見ると一手一手だとは思うが攻め合いはどちらが勝っているか私の力ではわからない。

では第7図で他の手はあるだろうか。本書 p.38 では次のように書かれている。

第7図以下の指し手③
☗8三角 ☖7二銀 ☗5六角成 ☖5九龍 ☗5八桂 ☖4八金 ☗6七銀 ☖6四香
第7図から①☗5四歩、②☗2二馬に代わって、③☗8三角も攻防の角打ちで考えられる手だがやや疑問の一手だ。 対して☖7二銀と角に当てるのが最善。(中略)☖6四香と打たれた第22図は食いつかれた形で先手不利となる。

一方、さきに挙げた「居飛車党宣言!」では次のように解説されている。

第8図以下の指し手
▲5六角成 △5九龍 ▲5八金 △2九龍(第9図)
前述の攻め合いでは▲4ニ銀~▲6一角成の攻めが厳しかったので、その筋を受ける△7ニ銀とした局面が第8図です。 手順に馬が作れて先手としては不満のない流れですが、やはり先手玉は不安定な位置にあるので一筋縄にはいきません。
(中略)従って後手は自然に△5九龍の王手。ここでも合い駒には惜しみなく金を使い、先手を取って受けます。ここ▲5八歩の合駒は△5四香。▲5八桂の合駒には△4八金と露骨に迫られ、後手の攻めを振りほどくのは大変です。

この両者を比べると、「居飛車党宣言」の記述が優ると思う。

解説されていない変化

本書 p.23 にある第5図は、先手が☗6八歩と成銀に当てて受けた図である。

【第 5 図は☗6八歩まで】
 ☖後手 飛金歩 987654321
☗先手 飛角桂歩三
      
 
         
        
          
    

本書では先手の手として☗6八歩のほかに☗6九歩や☗4八玉を示している。☗6九歩は形勢不明、☗4八玉は先手不利としている。 しかし、最近の手として示される☗6九飛はない。
将棋講座ドットコム
https://xn--pet04dr1n5x9a.com/有段編/4五角戦法対策05.html
では、☗6九飛の詳しい指し方が掲載されている。

図版

局面図は自作の 文字の回転と応用:将棋盤を用いている。

書誌情報

書名東大将棋ブックス 横歩取り道場 第三巻 4五角戦法
著者所司和晴
発行日2002 年 11 月 12 日 第1刷
発行毎日コミュニケーションズ
販売
定価1200 円(本体)
サイズ
NDC796
ISBN4-8399-0866-4
その他草加市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi