母比率の差の判定

作成日 : 1999-03-09
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赤池情報量規準(AIC)を統計の検定論に応用するシリーズの続きである。 今回は、従来の検定論で「母比率の差の検定」と呼ばれている問題を、AICでどのように扱えるかを示す。

例題2:あるWebサイトで以前行なったアンケートでは、Webサイトを見た80人のお客さんのうち、 回答 したのは10人だった。 その後、時をおいて行なったアンケートは、Webサイトを見た100人のお客さんのうち、回答したのは 15 人だった。 回答率は 12.5% から 15.0% に上がったと解釈できるか。

回答率が同じであるとするモデルのAICをAIC(0)、回答率が異なるというモデルのAICを AIC(1)とする。 両者のモデルから計算されるAICを比べて、小さいほうをより真に近いモデルと判断すればよい。 計算結果は次のようになる。

`AIC(0)=-2*[(10+15)*log((10+15)/(80+100)) + (70+85)log((70+85)/(80+100))] + 2 = 147.06`
`AIC(1)=-2*(10*log(10/80) + 70*log(70/80) + 15*log(15/100) + 85*log(85/100)) + 4= 148.83`

これらの結果から、2つのAICのうちでは、AIC(0)が小さいことがわかる。 従って、回答率は同じとするモデルがよいことになる。 つまり、回答率は同じである、という結論が出る。

次のフォームでJavaScriptによる計算ができる。 Aタイプの事象Pに10を、事象~Pに70を入力する。 同様に、Bタイプの事象Pに15を、事象~Pに85を入力する。 「計算」ボタンをクリックすると、A,B各タイプのAICが計算される。

事象P 事象~P 事象Pの起こる確率
Aタイプ
Bタイプ
AIC(0)
AIC(1)

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MARUYAMA Satosi