全音ピアノピース

作成日:2016-01-23
最終更新日:

以下断りなく、ピアノピースといえば全音ピアノピースを指す。

最初に買ったピアノピース

俺がピアノを習い始めたころ、好きな曲があった。シューベルトの楽興の時だった。 弾きたいと思って全音ピアノピースを買った。50 円だった。 買って中身を見たら、俺が好きな曲とは全く違っていた。おまけに難しい。そこで萎えてしまった。

今思うに、俺が好きだった曲は、マリーの金婚式であった。

次に買ったピアノピース

小学生のとき、廉価版のレコードを親に買ってもらった。その中に、ブライロフスキーのショパンワルツ集があった。 最初から最後まで聞いてみた結果、「小犬のワルツ」が一番気に入った。自分で弾きたいと思い、 親に「難しくて弾けないと思うけれど買っていいか」と尋ねた。親はいいと答えた。当時もまだ、50 円だった。

その後そろえたピアノピース

右端の番号については後述する。

No.曲目難易度作曲者定価番号(なしは処分済または行方不明)
2エリーゼのためにBベートーベン-78040113
4トルコマーチ-モーツァルト-なし
14結婚行進曲-メンデルスゾーン-なし
16乙女の祈り-バダルゼフスカ-なし
19楽興の時第3番(Op.94 No.3)-シューベルト50なし
29アルプスの夕ばえ-オースティン-なし
35小犬のワルツ-ショパン-なし
43ロンドカプリチオーソ-メンデルスゾーン-なし
46葬送行進曲-ショパン-なし
74幻想即興曲-ショパン-なし
109フーガト短調-バッハ=高橋-なし
126ハンガリア狂詩曲第2番-リスト-なし
127ワルツ(遺作)Eショパン-830100127
128華麗なる大円舞曲(Op.18)-ショパン-なし
157アルプスの乙女の夢-ラビッキー-7606088
175愉快な鍛冶屋-ヘンデル-なし
160ラ・カンパネラ-リスト-7608075
178スケーターワルツ-ワルトトイフェル-なし
185エコセイズ-ベートーベン-76050115
188双頭の鷲の旗の下に-J.F.ワーグナー-なし
214アンネンポルカBシュトラウス15075011065
219舟歌Dショパン1507602094
248叙情小曲集 第二集からCグリーク20084070119
288春の海-宮城道雄-7401090
292幻想ポロネーズDショパン2507106094
294トッカータ-プロコフィエフ-なし
301トッカータD原博30078020139
355トッカータとフーガCバッハ=小林30076050115
404毛沢東詞三首F高橋悠治30079010102
430彼方へF石井真木4008501089
476トッカータ クロマチーコE松平頼則50093012090

なぞの番号

ピアノピースの裏にある一覧表には、なぞの7桁または8桁の数字番号がある。 上2桁は一覧表出版時の西暦二ケタを表すと思われるが、証拠はない。 私が持っているピアノピースで上二ケタが最も小さな数字は幻想ポロネーズの 7106094、 最も大きな数字はトッカータクロマチーコの 93012090 である。 なお、2000 年以降はピアノピースを購入していない。

誤植

幻想曲さすいの人

No.166 が「幻想曲さすいの人」と書かれた版があった。75011065 から 7602094 までのみ見られ、これらの前後の版にはない。

パッヘベル

No.448 の作曲者欄が「J.パッヘベル=後藤丹」と書かれた版があった。ちなみに曲目は「パッヘルベルのカノン」となっている。93012090 で確認した。

表記の変遷

スカルラッティの作品番号

スカルラッティのソナタは、昔は ソナタ L.23 (ピアノピース番号 221)や ソナタ L.193 (ピアノピース番号222) という表記であったが、 いまはそれぞれ ソナタ ホ長調 K.380・381 とソナタ イ長調 K.499・500 となっている。親切になったものだ。 もっとも、ピアノピース番号 415 は最初からソナタニ短調 K.9 となっている。ちなみに、前2曲の作曲者は単にスカルラッティとあるが、 こちらは D.スカルラッティとなっている。

舟歌と船歌

ロマン派時代、バルカローレといわれる性格的小品があった。これは舟歌と訳され、表記されるが、船歌という表記もあった。 昔の版(7106094) では 17 メンデルスゾーンはベニスの船歌であり、53 チャイコフスキーも船歌であった。一方 37 オッフェンバッハはホフマンの舟歌であり、 219 ショパン、255 ゴダール、265 ラフマニノフはすべて舟歌の表記であった。 その後の版(7602094)では、17 がベニスの舟歌になったが、53 は船歌のままだった。 さらにその後の版(78050115)はチャイコフスキーも舟歌という表記になった。

いちゃもん

選曲の偏り

フォーレの作品が少ない

全体としてフランスの作曲家の作品が少ないように思う。 特にフォーレの作品が少ない。 出版順でみるとフォーレが登場するのは非常にあとで、No.511 にシシリエンヌが、No.512 にパヴァーヌがやっと出てくる。 そしてどちらも、有名ではあるがピアノオリジナルの作品ではない。ピアノオリジナルの作品でピアノピースとして売れると判断される有名なものはない、 と全音は判断したのかもしれない。これはゆゆしきことである。 ピアノピースとして味見的に出すなら、無言歌第3番がいいのではないか。

ちなみに、全音ピアノ連弾ピースでは、組曲ドリーの全六曲が出ている。

作品の識別

メヌエット

一覧表だけでは区別がつかない作品がある。たとえば、No.56 ハイドン作曲のメヌエットとは、どんな作品だろうか。 全音ピアノピースサイト (http://pianopiece.jp/) で探したが「こちらはピアノピースです」というふざけた表示しか出ない。 Web で調べると、ハイドンのメヌエットは Hob.IX:3 や Hob.IX:8 など、複数ある。これはいけない。 ほかにNo.191 モーツァルト作曲のメヌエットもある。こちらは全音ピアノピースサイトに収載曲という情報があり、 ディヴェルティメント 第17番 K.334/320b「メヌエット」とわかる。このオリジナルは、ピアノ独奏ではなく、 ホルン2丁と弦楽合奏のためのものであることがわかる。言われてみれば、これがモーツァルトの代表的なメヌエットだろう。 それでも、ケッヘル番号を出してもらいたかった。

また、No. 124 バッハ作曲の二つのメヌエットとは何か。全音ピアノピースサイトでは 6つのパルティータ 第1番 変ロ長調 BWV.825「2つのメヌエット」6 Partiten 1 B-dur BWV.825 Two Minuets 4 ページで本体 500 円、 とある。あれ、パルティータ第1番は No.139 で既にあるのではないか。こちらは 14 ページで本体 500 円、 ということは、No.139 を買うのがお買い得ではないか。不思議だ。

そのほか、メヌエットとして出ているものはいくつかある。ヘンデルのメヌエットは、作曲者にヘンデル=ケンプと記してあり、 識別のための情報が十分である。また、ボッケリーニ、ビゼー、パデレフスキーは見当がつく。

変奏曲

ベートーベンは、No.134 の 6つの変奏曲と No.176 の 六つの変奏曲がある。 ピアノピースサイトには後者がト長調と明記されているが、識別のための情報はこれ以上ない。 他の Web サイトも合わせて調べると、No.134 は Op.34 とあるので、識別できる。作品番号は一覧表にも書いてもらいたい。 もし、すでに現在の版で記されているなら不明を詫びる。

欠番とその扱い

復刊の要望

欠番となった曲がある。ライセンスの消失などが原因としてあるようだが、極力出版を続けてほしい。 たとえば、原博の曲は全音ピアノピースには原博の音楽と著書で触れたとおりだが、 現在入手可能なものは No.482 のオフランドだけだ。もったいないことだ。

番号の一意性の確保

全音ピアノピースのサイトそのものでも、また他の掲示板でも明らかになっているのだが、 ある番号の曲が絶版になり、欠番となったとき、新たな曲が昔の欠番に入ってしまう現象がある。 そうなると、絶版になった曲が復活したとき別の番号になってしまう。こんなややこしいことはやめてほしい。

たとえば、No.213 をたどってみる。7106094 - 7401090 時代はアイルランド民謡の「残りのばら」だった。 それが、7602094 - 78040113 時代は助川敏弥の「ソナチネ<青の詩>」になっている。そして、830100127 以降はベートーベンのロンドハ長調 WoO 48 ロンドイ長調 WoO 49 になり、今日に至っている。

では「残りのばら」と「ソナチネ<青の詩>」はどうなったか。「残りのばら」は消えていた。 「ソナチネ<青の詩>」は No.208 で健在である。番号からいえば若返った。では No.208 には何があったのか。パデレフスキーの「メヌエット」があった。 今は No.484 で順位を落としたが復活した。なんということだろう。

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MARUYAMA Satosi