理想のピアニスト(第9回):日本のピアニスト

作成日:2003-04-06
最終更新日:

私にとっての理想のピアニスト探究の道はまだまだ続く。

あるインターネットのページを見ると、 その方が尊敬する日本人ピアニストが3人いるということだった。 野島稔、岡田博美、斎藤雅広の3人である。野島稔のピアノは、 テレビで見聞きしたことがある。たぶん、夜のガスパールのスカルボを弾いたはずである。 びっくりした。 斎藤雅広は、小生の住む越谷で演奏会を開いて下さったので、 ありがたく聞きに行った。斎藤さんは、人を楽しませることにかけては群を抜いて際立っている。 こういうスター性に私は憧れる。岡田博美の演奏は、まだ残念ながら聴いていない。 でも、評判がいいからきっと期待は裏切らないだろう。 岡田博美さんのサイト(www.hiromi-okada.org)の中から、 2004年のスケジュールを見た。しかし、 ベートーヴェンのコンチェルトでは岡田さんならではの魅力が出るのかわからないし、 アルベニス他のプログラムは魅力的だが鳥取まで行くのはつらい。 まだまだ機会はありそうだから、それまで待とう。

(追記)岡田博美のピアノを聴く機会がやっときた。 2005年11月、フォーレの作品を含むリサイタルを聴いた。無敵だった。(2006-01-22)

別のピアニストの話をする。 最近テレビで見たコンサートは、N響アワーの「パガニーニの主題による狂詩曲」だった。 そのときのピアノは小山実稚恵だった。この人の演奏は初めて聴く。 硬い、という印象であった。これは、私の場合ほめことばである。そして、 この曲が小山実稚恵に合っていたように思う。

私はフォーレとスカルラッティが作曲家としての完成した姿だと思うが、 ラフマニノフのことを作曲家としてどうこう言うのは好まない。 単純に曲の好き嫌いで判断できる。そして、この「パガニーニ」は単純に好きだ。 それも、あの第18変奏でもうメロメロになる。この変奏を指す固有名詞がないのが残念である。 NHKのラジオ番組「希望音楽会」の冒頭でこれがテーマになっていたことは知っていたが、 ほかに呼び名はないのだろうか。

小山実稚恵が硬い、というのは裏づけがある。ある雑誌かムックを買ってきたとき、 小山実稚恵インタビューが載っていた。たいていのピアニストは有名になるまでに多くの師匠に師事する。 しかし小山は有名なピアニストには珍しく、ピアノの師は二人しかいない。 そのうちの一人、田村宏が、小山は硬かった、ということを述べていた。 これを読んで、小山はどのような演奏をするのだろうとずっと思ってきた。 それから20年、録音ではあったがやっと彼女の演奏が聴けた。 特にこれからどうするということもないのだが、日本人であるだけに、 生の演奏が聴ける日も近いだろう。

話はそれてしまったが、 (このページを書いた当時)生演奏を聴いていない野島、岡田、小山とも有名なピアニストである。 切符が手に入るかどうか、心配になってきた。 もっとも、こんなことを心配するようだから、 理想のピアニストにはいつまでたってもたどり着けないのだろう。

注:その後小山実稚恵は、越谷で2回コンサートを開いた。 わたしはそのどちらにも行って非常に楽しんだ。 Blog に 2回めのコンサート評を載せている。 そういうことで、まだ実演を聞いていないのは野島稔だけになった。 (2008-07-07)

追記:野島稔は、現在東京音楽大学の学長である。知らなかった。学長はこう言っている。 東京音楽大学の魅力を一言で表すならば、それは「学生も、教員も、熱い」ということだと私は思います。 4, 5年前、東京音楽大学の学生たちと話す機会があった。確かに、みな、熱かった (2016-03-26) 。

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MARUYAMA Satosi