「まえがき」から 本書は,大学の工学系学部および工業高等専門学校の学生が,
ベクトル解析の基礎的部分を学ぶための入門書である.
6章「スカラー場,ベクトル場の積分」の pp.86-87 にガウスの定理を応用する例題がある。 なお、引用に際しては本文の斜体イタリックを立体イタリックに変更した。 また、記号 `D` は、`S` で囲まれる領域を指す。
例題 6.6 `S` を空間内の閉曲面で原点は `S` で囲まれる領域や `S` の上にはないものとする。 `bbr` を原点からの位置ベクトルとするとき,次の等式が成り立つことを示せ。
`int_S (bbr * bbn) / abs(bbr)^2 dS = 0`ただし,`bbn` は `S` 上の各点での単位法線ベクトルで `S` で囲まれる面積の外側に向くものとする。
<解>(中略)
問 5.8 より,原点を除いて `Delta (1 / abs(bbr)) = 0` 。 仮定より原点は `S` 上や `D` 内にはないので,`int_S (bbr * bbn) / abs(bbr)^2 dS = int_D Delta 1/abs(bbr) dv = 0`補足)例題 6.6 において,原点が `D` の内部にある場合および, 原点が `S` の上にある場合,積分値はそれぞれ `4pi`, `2pi` となる。
Amazon のレビューを見て、この例題の結果と補足を合わせて、 この値に疑問を抱いている人がいることがわかった。 私は答を持ち合わせていない。私が思うに、例題の答はこれでいい。 原点が `D` の内部にある場合も積分値は `4pi` でいいと思う。 いいと思う理由は、うまく説明できない。問題は、原点が `S` の上にある場合だ。私にはわからない。
その後、立花俊一・勝野恵子・山口誠一・成田清正・田川正賢 : Advanced ベクトル解析に説明があった。ただ、その説明では納得できない箇所があった。 リンク先を参照してもらいたい。
p.i 「まえがき」の本文 上から 12 行めその原因の多くは 3
時限空間と微積分を結び付ける概念
とあるが、
《その原因の多くは 3 次元空間と微積分を結び付ける概念》が正しい。
p.71 本文上から 4 行目 このうな状態を
とあるが、
《このような状態を》が正しい。
書名 | 使える数学 ベクトル解析 |
著者 | 平居孝之・福田亮治 |
発行日 | 1993 年 12 月 25 日 初版 1 刷 |
発行元 | 共立出版 |
定価 | 1800 円(本体) |
サイズ | A5 版 140 ページ |
ISBN | 978-4-320-01469-3 |
NDC | 414.7 |
備考 | 川口市立図書館で借りて読む |
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