確率論の基本的な概念を、工学などに応用する人のために簡潔に紹介することが本書の目的である。
マルチンゲールというなまえは確率過程では重要であるが、概念がわからなかった。 定義をみてみる。
確率空間は `(Omega, F, P)` 、`{ccF_n}_(n=0)^oo` を増大する `sigma`-集合族とする。 確率変数列 `{X_n}_(n=0)^oo` が`{ccF_n}_(n=0)^oo`-マルチンゲールであるとは、
が成立することをいう。
- 確率変数 `X_n, n = 0, 1, ... `は` ccF_n`-可測
- `E[|X_n|] < oo, n = 0, 1, ...`
- `E[|X_(n+1)|ccF_n] = X_n, n = 0, 1, ...`
公平な賭けを行なうギャンブラーは、マルチンゲールでは財をなすことができない。 他の本にはそう書いてある。これは難しい本なのだから、そこまではかけないのだろう。
付録「可測性について」で、選択公理、Banach-Tarski の定理、可測性について説明されている。 そして、厳密性を満たすためには用語にいちいち可測という言葉をつける必要がある、としている。 最後に、著者はこう締めくくっている。 『しかし,この本は数学者でない人を対象とした入門であるので,その部分はごまかしてある.』 この「ごまかして」ということばが気に入った。
数式表示には、MathJaxを使っている。
発行日 | 1993 年 5月 14日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 3495円(税別) |
サイズ | |
ISBN | 4-00-010512-4 |
備 考 | 3分冊合計の金額 |
NDC |
まりんきょ学問所 > 数学の部屋 > 数学の本 > 楠岡 成雄:確率と確率過程