概要
副題は「図形が織りなす不思議世界」
感想
ピックの公式
「第3章 ピックの公式」を読んだ。p.48 では用語の定義から始まる。
`xy` 平面
`RR^2 = {(x,y) : x, y in RR}`
の点 `(a, b)` は、その `x` 座標 `a` と `y` 座標 `b` の両者が整数であるとき、格子点と呼ばれる。(中略)`xy` 平面の凸多角形 `ccP` の任意の頂点が格子点のとき、その多角形を格子凸多角形と呼ぶ。
特に、格子三角形とは、その3個の頂点が格子点である三角形のことである。格子三角形が頂点以外の格子点を含まないとき、空の三角形と呼ぶ。
本書で多角形や多面体は`ccP` と表記している。これは P のカリグラフ体だ。慣れないとわかりにくい。 多角形は英語で polygon、多面体は polyhedron だから、P の文字を使うのだろう。イタリックの `P` は点のことを表すのに使いたいから `ccP` としたのだろうか。
pp.48-49 に次の記述があるのでこれは事実として私は認めている。
格子三角形の面積は `1/2` の整数倍である。実際、一般の三角形の3個の頂点を `(0, 0), (a, b), (c, d)` とすると、その面積は、 \[ \frac{1}{2} |ad - bc| \] である。
p.49 では次の文がある。
正三角形となる格子三角形が `xy` 平面の上に存在しないことは、 格子正三角形の一辺の長さを `a` とすると、`a^2` が整数となることから、その面積 `sqrt(3)/4 a^2` は無理数になるが、 そのことは格子三角形の面積は `1/2` の整数倍であるという事実に矛盾するからである。
頭が悪いので、この文を次のように解釈したらやっと理解できた。
正三角形となる格子三角形が `xy` 平面の上に存在しないことは、次のようにして示せる。格子正三角形の一辺の長さを `a` とすると、`a^2` は整数である。 なぜなら格子三角形の一辺の端点の座標を `(p, q), (r, s)` とすれば、一片の長さ `a` はピタゴラスの定理によって、`a^2 = (r-p)^2 + (s-q)^2` で与えられるが、 `p, q, r, s` はすべて整数であるから `a^2` も整数である。さて、一辺が `a` の正三角形の面積は `sqrt(3)/4 a^2` である。なぜなら、正三角形のある角で2等分線を引くことにより、 底辺の長さが `a` である正三角形の高さは(2等分線で半分になった直角三角形を考えることで)`sqrt(3)/2 a` であることがわかるから、結局正三角形の面積は `1/2 * a * sqrt(3)/2 a= sqrt(3)/4 a^2` となる。ところが、格子三角形の面積は `1/2` の整数倍であるので、有理数であるという事実に矛盾する。よって、正三角形となる格子三角形は存在しない。
さてこれからピックの公式の証明に進むのだが、その前に補題を証明する必要がある。そのうちの一つが p.49 に登場する。
(3.1) 補題 空の三角形の面積は `1/2` である。
この補題の証明に私はうなってしまった。行列と行列式の性質を使う。
もう一つ、証明すべき補題がある。
(3.2) 補題 空の鋭角三角形は存在しない。
数式記述
数式はASCIIMathMLで記述している。
書誌情報
| 書名 | 多角形と多面体 |
| 著者 | 日比孝之 |
| 発行日 | 2020 年 10 月 20 日 |
| 発行元 | 講談社 |
| 定価 | 1200 円(本体) |
| サイズ | 新書版 |
| ISBN | 978-4-06-521361-2 |
| その他 | 講談社ブルーバックス、越谷市立図書館にて借りて読む |