「まえがき」から引用する。
本書は,解析幾何学の基本を説明するために書きました.
本書は B5 版なので図が大きく、見やすい。
50 ページの 3.4 節は「極と極線」である。次の記述と図がある。
円の外にある 1 点 `"P"_1` から直線を引き,円との交点を `"Q", "R"` とします. そこで`2 / ("P"_1"P") = 1 / ("P"_1"Q") + 1 / ("P"_1"R") `をみたす点 `"P"` をとると,この点は 1 直線上にあります.この関係を調べます.図 3.5
わかってみると当たり前だが、この点 P が 1 直線上にあるというこの 1 直線とは、図でいう `"P"_1"QPR"`
ではない。図 3.5 で、 P を通る直線は 2 つあり、直線 `"P"_1"QPR"` ではない、もう一つの直線のほうが、
この 1 直線のことを指している。だから、
この点は 1 直線上にあります
というのは、「この点のなす軌跡は直線です」といえばわかりやすい。
事実、この事実の証明で本書の 52 ページには点 `"P"` の軌跡
という表現が複数回出ている。
書き方には不満があるが、事実はおもしろい。中心が原点で半径が `R` の円にたいし、 点 P の座標を `(x_1, y_1)` とすれば、 この 1 直線の式は `x_1x + y_1y = R^2` で表され、これを極線というのだそうだ。 では練習問題をやってみよう。54 ページを見る。
問 9 円 `x^2 + y^2 = 9` に関する点 `(2, 1)` の極線を求めなさい。
このときの円と点を書いてみよう。あれ、点が円の内側にある。外側にはない。聞いてないよ。答を見てみる。 `2x+y=9` だそうだ。これは点が円の外側にあるときの結果と形式的には同じだ。ということは、 極線は点 P が円の内側にあってもいいのか?
本書の証明を見る限り、点 `"P"_1` は円の内部にあってもいいようだ。ふむ。
35 ページ上から 9 行め
`y = (y_2-y_1)/(x_2-x_1) (x-x_1) + y_1 - x_1(x_2-x_1)`
とあるが、右辺最後の項は不要だ。次が正しい。
48 ページ下から 5 行め
`t = 0, quad t = -(2lambdax_1 + muy_1)`
とあるが、次が正しい。カッコの位置に注意。
66 ページ下から 4 行めから 2 行め
点 `P_1` から引いた直線が円の接線になっているときには,点 `Q, R, P` は接点に一致します. つまり,極線は,極から円へ引いた接線を通ることがわかります.
とあるが、ここでは円ではなく、2 次曲線一般の話をしているので、 「円」を 「2 次曲線」に置き換えなければならない。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 基礎解析幾何学 |
著者 | 井川俊彦 |
発行日 | 2005 年 3 月 25 日 初版 1 刷発行 |
発行元 | 共立出版 |
定価 | 2200 円(本体) |
サイズ | B5版 120 ページ |
ISBN | 4-320-01782-X |
NDC | 414.5 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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