高等専門学校における数学の基礎。2年次以降で微分積分を効率よく学習できるように題材の取捨選択に配慮した。
はしがきで高等専門学校の数学を意識しているようだが、私が見る限りは普通高校1年生の数学の内容と同じであるようだ。
p.55 に、必要条件と十分条件の定義が述べられている。
さて,「`p => q`」であるとき,すなわち `p` から `q` が必然的に導かれるとき,`q` は `p` であるための必要条件といい, `p` は `q` であるための十分条件という.(中略) 次に,「`p => q`」であってしかも「`q => p`」であるとき,`q` は `p` であるための必要十分条件という.(後略)
問題はここからだ。次のような問題はよく出る。「`p` であるための必要十分条件は `q` であることを示せ」
当然このときは、「`p => q`」かつ「`q => p`」を示せばよいのだが、次のような模範解答をみることがある。 必要性:……、十分性:……
私はこれをみて不安に思う。必要性とあるのは「`p => q`」を証明するのか。それとも「`q => p`」を証明するのか。 どちらかがわからなくなったら、私だったらこうする。まず、<命題 `p` : ……、命題 `q` :…… と定義する> と宣言する。そして<まず `p => q` を証明し、 次に `q => p` を証明する>として、おもむろに書き出せばよい。そうすれば、 `q` の `p` に対する関係が必要だったか、十分だったかで悩まずに済む。 でも、いつもこうまで定義できる時間があるとも限らない。
私ならばずるく、こうする。「前件を `P`、後件を `Q` とする。まず `P rArr Q` を示す。(中略)次に `Q rArr P` を示す。(後略)」として、 どちらが必要性か、どちらが十分性かに触れることなくすませる、というものである。
私が対数を知って驚いたことは、大きな数の桁数が求められることだった。本書でみてみよう。p.157 にこのような問題がある。
`2^(50)` は何けたの数か。
こういうことがわかることが不思議である。 もちろん、`2^50` の自然対数をとると `50 log_10 2` だから、`log_10 2 = 0.3010` を利用して、 `50 log_10 2 = 50 * 0.3010 = 15.05` だから、`2^50` は 16 けた、と計算できる。(`10 <= x < 100` のとき、`1 <= log x < 2` だから、 自然対数をとった値が 1 以上 2 未満ならもとの数値は 2桁。ここを間違えないように)。
書名 | 基礎の数学 |
編者 | 矢野 健太郎、石原 繁 |
執筆者 | 石原 繁、船橋 昭一、石原 育夫 |
発行日 | 2016 年 1 月 10 日(第 27 版 8 刷) |
発行元 | 裳華房 |
定価 | 円(本体) |
サイズ | ページ、cm |
NDC | |
ISBN | 978-4-7853-1059-2 |
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