数学セミナー編集部(編):エレガントな解答をもとむ selections

2026-04-15

概要

「はしがき」から引用する。

『数学セミナー』には「エレガントな解答をもとむ」という欄があり,ここで出される問題に多くの数学ファンが毎号チャレンジしています. 問題を解くだけではダメで,初等幾何で1本の補助線が問題の本質をつくように, 「エレガントな(=気の利いた)」解答でなくてはいけないというルールがあり,腕自慢の読者は,「我こそはエレガントな解答だ」と胸に秘め,応募します(後略)

感想

要再読である。

私は 1980 年代後半から 1990 年代前半にかけて数学セミナー誌を購読し、たまには「エレガントな解答をもとむ」欄の解答を提出していた。たぶん 10 回ぐらいだと思う。 しかし、私には「エレガントな解答」ができるはずはなく、「エレファントな解答」や「エレー頑固な解答」ばかりを送っていた。 その中で一つだけ紹介された解答があった。そのときの問題担当者は永田雅宜氏で、細部は覚えていないが私の解答は「大層面倒な方法で」と紹介されていたような気がする(そのとき私は筆名で応募していた)。

p.125 には次の問題が載っている。

3辺の長さが整数で,面積も整数になる三角形のうちで,面積が最小となるものを求めてください.(後略)

答は3辺が3、4,5の三角形である。さらに本書では、3辺の長さが整数で面積も整数になる三角形の面積 `S` は6の倍数になっていることも示されている。詳しくは本書をみてもらいたい。 さらに p.127 では、次の問が問題・解答作成者の根上生也氏から投げかけられている。

はたして,6のすべての倍数を,3辺の長さが整数の三角形として実現できるのでしょうか? 興味のある読者は,自分で考えてみてください.

私は自分で考えられないのでインターネットで検索した。すると Wikipedia の「ヘロンの三角形」に、面積の小さいヘロンの三角形の例が出ていた。これを見ると、 6の倍数でありながらヘロン三角形の面積とはなりえない例があった。`S` が 200 未満の例でいえば、`S = 18, 48, 52, 78, 96, 102, 108, 138, 142, 148, 162, 174, 186, 192` が該当する。

そこで本書の記述も交えて考えてみた。3辺の長さを `a, b, c` とする。本書の記述により、`a, b, c` はすべて偶数であることがわかる。そこで、`x = (-a + b + c)/2 , y = (a - b + c)/2, z = (a + b - c)/2` とおくと、`x, y, z` はすべて自然数であり、ヘロンの公式および本書の記述より `S^2 = (x + y + z)xyz` であることがわかる。さて、`S = 18` としよう。 `S = 2 * 3^2` であるから、`(x + y + z)xyz = 2^2 * 3^4` が成り立つような `x, y, z` を見つければいい。しらみつぶしに調べると、この式を満たす `x, y, z` は存在しないことがわかる。

数式の記述

数式は MathJax を用いている。

書誌情報

書名エレガントな解答をもとむ selections
編者数学セミナー編集部
発行日2021 年 6 月 15 日 第1版第1刷
発行元日本評論社
定価1900 円(本体)
サイズA5 版
ISBN4-535-78329-2
備考草加市立図書館で借りて読む