現在の日本の憲法はアメリカに押し付けられたものだから、 自主憲法を制定しよう、ということが言われている。 しかし、現行の憲法もアメリカに押し付けられたものではなく、 ある日本の研究会の草案をもとに作られたものだった。 その草案は、アメリカが驚くほど先進的な内容だった。 その内容とは、国民主権と象徴天皇制だった。
この草案は、在野の「憲法研究会」が日本政府ほかに提出した「憲法草案要綱」である。 そして、その要綱の主な起案者は、会員の鈴木安蔵であった。鈴木は草案のよりどころを 思想家、植木枝盛の著作に求めた。さて、植木枝盛とは何者か。
細かなことは同書に出てくるので割愛するが、読み仮名は「うえき えもり」である。
ところが、この本のどこにも読み仮名が出てこない。同書の p.137 で、
植木の著作が英訳されていたことに触れている。そして「ウエキエダモリ」(英訳者はエダモリと訳している)
と書かれていることからして、「エダモリ」の読み仮名が誤りであることが示唆されているというのに。
同書では、憲法研究会の草案が米国総司令部および民生局将校に与えた影響を主に記しているが、 あとがきでは、草案を通してではなく、植木枝盛の英訳本で直接民生局将校が参考にしていた可能性も示唆している。
書 名 | 憲法「押しつけ」論の幻 |
著 者 | 小西 豊治 |
発行日 | 年月日 |
発行元 | 講談社 |
定 価 | 円(本体) |
サイズ | ページ cm |
ISBN | 4-06-149850-9 |
特記事項 | 南越谷図書館で借りて読む |
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