筒井康隆の初期の短編を収める。
実は、表題作をきちんと読んだことはなかった。今改めて読んで、背景となった時代は異なるが妙に実感がわいてくるのだった。 さて、わからないことばがあった。 SF マンガを書く主人公は、仕事場に押し掛けた女性たちから抗議を受けている場面がある。p.159 から引用する。
「SFマンガを描かないと、あなたが誓うまでは、帰りません」
そんなこと、おれが誓うと思っているのだろうか? 彼女たちは女幡随院のつもりらしい。おれはカッとした。
「女幡随院」ということばが出てくる。幡随院(ばんずいいん)とは有名な人らしいが、どんないわれがあるのだろう。 辞書で調べると、「幡随院長兵衛は江戸時代初期の侠客。町奴の親玉で、旗本奴と争い殺された。歌舞伎や狂言に脚色された」 とある。これだけではわからない。今度はインターネットだ。こんな説明だ。 「長兵衛はは旗本奴の頭領に呼びつけられた。罠であるとわかったうえで、 <怖がって逃げたとあればそれでは男が立たない>といって死を覚悟して出かける」
なるほど。この女性は帰らないことを主人公は幡随院に見立てているということがわかった。 さてその先、主人公は秘書に「暴力団を呼んでくれ」と頼んだ。 この先は原作でどうぞ。
新潮文庫に収められている「宇宙衛生博覧会」(宇宙衞生博覽會)のなかの数編を思い出す。
書 名 | くたばれPTA |
著 者 | 筒井 康隆 |
発行日 | 年 月 日(第3刷) |
発行元 | 新潮社 |
定 価 | 円(本体) |
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その他 | 新潮文庫 |
まりんきょ学問所 > 読んだ本の記録> 筒井 康隆:くたばれPTA