羽山 博・吉川 明広&できるシリーズ編集部:できる逆引き Excel関数を極める勝ちワザ 740 |
作成日: 2015-04-04 最終更新日: |
基本的なワザから、複数の関数を組み合わせたワザ、条件付き書式、入力機能と組み合わせた応用ワザまで幅広く取り上げる。
逆引きというからには、「こういうことをしたい」という要件があり、それに応えるために 「ではこのような技を使えばうまくいくでしょう」という解決策が提示されているものである。
では、この本では要件の表現が過不足なく伝えられているかどうか、調べて考えた。740 件すべてを調べるのは大変なので、 下記 12 章のうち「集計」について考えてみた。
集計の章の中では小分類がある(これをここでは節と呼ぶ)。最初は数値の合計という節があるので、ここを見る。
まず集計の最初には何があるか。「売上金額の合計を求める」とある。売上とは、ものを得ることである。 では、ものを買うときはどうか。売上に対応するのは仕入である。仕入金額の合計を求めるときには使えないのか。 そういうことはない。それどころか、金額以外の数値の合計でもよい。というのは、説明いているのは sum 関数だからだ。 だから「数値の合計を求める」が過不足のない表現となる。 もっともこうすることによる問題は、 「じゃあ売上金額の合計を求めるにはどうすればいいの」という頭の悪いユーザーにどう答える手間が増える、ということだ。 もっとも、「売上金額の合計を求める」と書いてあって「じゃあ仕入金額の合計を求めるにはどうするのか」という私は もっと頭が悪いユーザーということになる。
次は、「列全体を合計してレシートの金額を集計する」と表現されている。これはどういうことか、説明文を見ると、その内容は 「あたかも電卓を打つように、一品ごとの金額を入力するたびにそれまでの累計が表示されているような方法を提供する」 という要件を実現するものだった。「列全体を合計する」のはその要件を実現するための手段であるので、 工夫をした方がよいのではないかと思った。
次から始まるいくつか「小計と総合計を求める」「非表示の行を除外して合計を求める」「エラーとなったセルを除外して合計を求める」「構成比を求める」 などは、過不足はないと思われる。その後は、いくつか気になる表現から拾い出そう。
「ABC 分析により商品の売れ筋を分析する」の「ABC 分析」はわかるだろうか。複数種があるモノで、そのはける数量の多いモノを重要な A ランク、 ついで数量の多いモノを B ランク、その他のモノを C ランクとして区別する方法である。「数量別に品物を分類する」というぐらいが素直な表現だろう。 それから「源泉徴収前の支給額のみを集計する」というのは何だろう。中身を見たら、「列中から特定の列に限って集計する」という方法だった。 つまり、一人のレコードに複数の行があり、第1行が総支給額、第2行が源泉徴収額であった。そのすべての人のレコードの総支給額のみを拾い出して総計をとる、 という方法なので、源泉徴収自体には何も意味はない。より実態に近い表現をしてほしい。
個人的には「データのチェック」が役に立ちそうだ。たとえば、「チェックボックスがチェックされているかどうかによって計算を変える」 というのがそれらしい。
書 名 | できる逆引き Excel関数を極める勝ちワザ 740 |
著 者 | 羽山 博・吉川 明広&できるシリーズ編集部 |
発行日 | 2013 年 12 月 21 日(初版) |
発行元 | インプレスジャパン |
定 価 | 2800円(本体) |
サイズ | 798ページ |
ISBN | 978-4-8443-3523-8 |
まりんきょ学問所 > 読んだ本の記録 > 羽山 博・吉川 明広&できるシリーズ編集部:出来る逆引き Excel関数を極める勝ちワザ 740