久保亮五:新装版 統計力学

2026-07-20

概要

「序」から引用する。

本書は統計力学のあらましを平易に説明することを目的とする.

単位系

本書は CGS 単位系を用いている。SI 単位系に慣れた身には読みにくい。

表紙をめくった見開きの右ページ、標題紙より前の力紙部分に、「重要な物理定数」の表がある。ここで、エネルギーがジュールではなくエルグで書かれているので困る。 国際単位系 (SI 単位系)では、次のようになるはずだ。

重要な物理定数
アボガドロ数`N_A` `= 6.02214076 times 10^(23) "mol"^(-1)`
気体定数`R` `= 8.31446261815324 "J K"^(−1) "mol"^(−1)`
ボルツマン定数`k` `= 1.380649 times 10^(−23) "J K"^(−1)`
プランク定数`h` `= 6.62607015 times 10^(−34) "J"*"s"`
光速度`h` `= 299792458 "m"//"s"`
電荷素量`e` `= 1.602176634 times 10^(-19) "C"`
電子の質量`m` `= 9.1093837015(28) times 10^(-31) "kg"`
陽子の質量`M` `= 1.672621898(21) times 10^(-27) "kg"`

他にも、原子量 1あたりの質量などが載っているが省略する。新装版が出るタイミングで SI 単位系に直されていてほしかったが、既に著者は逝去されていたので難しかったのだろうか。

ブラウン運動

「第1章 統計力学のはじめに」の「1.3 分子の熱運動」では、p.7 にある次の一文が目を引く。

(前略)実際,物質の中で分子または原子が,このような意味の熱運動をしていることは,植物学者ブラウン(Brown, 1827)が顕微鏡下に見いだした花粉粒子の運動によって示された. このブラウン運動は,小さい粒子を囲む水の粒子が熱運動をして,これに不規則にぶつかり,粒子はあたかも氏子にもまれるみこしのような運動をするのだと解釈される. この解釈に基づく理論的結果は実験的に証明される.

正しくは、顕微鏡下に見いだした花粉粒子の運動ではなく、「顕微鏡下に見いだした、花粉から水中に流出し浮遊した微粒子の運動」であり、これは常識となっている。それはともかく、 粒子はあたかも氏子にもまれるみこしのような運動をするという比喩がおもしろい。

統計

「第3章 統計力学の基本的な応用例」の「3.3 フェルミ-ディラック,およびボーズ-アインシュタインの統計」では、p.69 にある次の一文が目を引く。

この原理に従って気体の状態をいい表わす最も自然な方法は,たとえば,社会の状態を,農業労働者が何人,工業労働者が何人,公務員が何人,経営者が何人, という数字で表すのと同じように,(後略)

妙に具体的だ。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

書誌情報

書名新装版 統計力学
著者久保亮五
発行日 2003 年 6 月 25 日 新装版第1刷
発行元共立出版
定価2500 円(本体)
サイズA5版 ページ
ISBN4-320-03423-6
その他越谷市立図書館にて借りて読む