ジェラルド・M・ワインバーグ:一般システム思考入門

作成日: 2016-11-03
最終更新日:

概要

一般システム思考とは、ものごとを有機的に関連したものとして全体的に把握する思考法である。 これはまた、今までの専門的な固有学問の領域に属さないさまざまな問題を考える場合に有効な思考法である。 同書は読者の思考方法に一大変革をもたらすといっても過言ではない。 (扉のことばより抜粋)

感想

2000 年ごろだろうか、ある方の WEB ページで、この本が推奨されていたことがあったので買った。 さて、どのような推奨のことばだったか。 曰く、ワインバーグ氏の本はたくさん出ているが、最近の本は……なので、一番有用なのはこの「一般システム思考入門」である、と。 ……のところは残念ながら思い出せないのだが、おそらく、読者におもねっているということではないかと思う。 ということで、今読み始めてみたら、難しい。コンピュータを使ったシステム本はごまんとあるが、 コンピュータに依存しないシステム本は少なく、こちらも読みこなすのが大変である。

練習問題

よく、幼稚園だか小学校だかの入試問題に、ある一定の規則の列が並んでいて、その規則を見抜いて次に続く要素を書く、というのがある。 さて、同書の p.106 にある問題 「3. 集合」をみよう。

次に示した集合に対して,それに続く適当な要素を 5 つずつ書いてみよ.
{1, 2, 3, …}
{マタイ,マルコ, …}
{苦しみ,暴食,顔, …}

難問である。第1の集合に関しては考えやすいが、それでも一つとは限らないだろう。 最初はおそらく、{1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, ……} がごく普通の解答と思われるが、 他の解答も可能であろう。たとえば、水前寺清子ならば、三百六十五歩のマーチに従って、{1, 2, 3, 2, 1, 2, 3, 4} とすることが予想される。 バルトークのミクロコスモスの終わりの曲ならば {1, 2, 3, 1, 2, 3, 1, 2}と数えるのが自然だろう。数学をかじったひとならば、 集合に順序が入っているものと仮定して、すなわち f(1) = 1, f(2) = 2, f(3) = 3 となる関数 f の形を決めるものとすれば、 f(x) = (x-1)(x-2)(x-3) + x もありである。すると後続の要素と合わせれば {1, 2, 3, 10, 29, 66, 127, 218} となる。

第2はどうだろうか。私がこの2つで思い出すのはいわゆる新約聖書の福音書である。それならばルカやヨハネが来るが、ほかに福音書があるか、 という問題となる。外典福音書で有名(といっても私が今調べて知った)トマスやペトロが来るのか。 それとも使徒一般なのだろうか。マルコは十二使徒ではないが、七十門徒ではある。だとすると、どうしよう。

第3はより訳が分からなくなってくる。順序がものをいうのならば、たとえば、「苦しみは暴食から(来た)。顔は蒼白に(なり)、 胸は吐き気に(襲われ)、胃は激痛に(もだえ)(……)」と続けて名詞を作るのが精いっぱいだろう。

書誌情報

書 名一般システム思考入門
著 者ジェラルド・M・ワインバーグ
監訳者松田 武彦
訳 者増田 伸爾
発行日1993 年 1 月 31 日(第 13 刷)
発行所紀伊國屋書店
定 価3592 円(本体)
サイズA5 版
ISBN4-314-00254-9
NDC500
その他

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MARUYAMA Satosi