ロボットの力学が、解析力学の応用として前半で解説されている。後半はロボットの制御を passivity (受動性)に基づく制御法を中心に記述する。
「1. ロボティクス入門」の p.6 では、人間の腕は肩に3自由度,肘に2自由度,手首に2自由度の合計7自由度を持ち,自由度が1だけ余っている勘定になる.
とある。
腕の自由度を意識したことはなかったが、7つも自由度があるのだと今更ながら思った。
この7自由度については、人間の腕の関節(自由度)についての概要と卓球における使われ方 (pp-physics.com) が参考になる。
「3. ロボットの運動方程式」では、この章の表題で示された運動方程式が導出されている。解析力学の見事な応用である。
誤植とはっきり言い切ることはできないが、気になる表現がある。「2. 運動学と動力学の基礎」p.37 から引用する。引用の都合で、本書の太文字斜体は引用では太文字立体としている。
他方,ベクトル解析でよく知られたストークス(Stokes)の定理によれば,
`int_S(nabla xx bbf)^T bbn dS = oint_C bbf^Tdbbr = 0`である.ここに,`S` は閉曲線 `C` で囲まれた 2 次元(曲面)領域であり,`dS` はその面積要素,`bbn` はその面積要素における単位法線ベクトル,`nabla` は勾配ベクトルである.
正確には、《`nabla` はベクトル演算子である》とすべきだと思う。なお、ストークスの定理は上記式の第1の項と第2の項の等式をいうのであり、第2の項と第3の項の等式は含まない。本書では、 第2の項と第3の項の等式はすぐ前の式で述べられている。これは、共通の始点と終点を有する二つのパスを考え、それらのパスでなされた仕事が等しいということを式に表した結果である。
書名 | 新版 ロボットの力学と制御 |
著者 | 有本卓 |
発行日 | 2002 年 3 月 25 日 新版第1刷 |
発行所 | 朝倉書店 |
定価 | 4200円(本体) |
サイズ | A5 版 p.222 |
ISBN | 4-254-20945-2 |
NDC | 548.3 |
その他 | 草加市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 読んだ本の記録 > 有本卓:新版 ロボットの力学と制御