裏表紙からどことなく違和感を感じていた熱力学と統計力学を、納得して理解できるように解説します。
私は熱力学が苦手だった。少しでもその苦手意識を払拭したい。
ここで表題の「ボルツマンの原理」とは、p.202 にある次の式を指す。
`S = k_B log W`
`S` はエントロピー、`k_B` はボルツマン定数、`W` は統計力学の場合の数である。これを導き出すのにはなかなか大変だ。
私は学生のころ1年前期で熱力学を物理化学の授業で受けた。このときは住んでいた市の図書館で化学の棚に物理化学の教科書があったのでこれを借りて勉強したが、 さっぱりわからなかった。今思えば、物理の棚の熱力学の教科書を借りるのがよかったのだろう。そして2年前期で統計力学を物理の授業で受けた。このとき、始めて熱力学がわかったような気がした。 実際にはわからなかったのだけれど。
さて、表題のもう一つの要素は「高校数学でわかる」という形容詞である。しかし、これはウソである。というのも、p.71 で偏微分が出ているからである。高校数学では偏微分は習わないからだ。 もっとも偏微分については概念としてはそれほど難しくはないから、頭が柔らかい高校生ならば理解できるだろう。ただ、ちょっと「高校数学でわかる」というのは言いすぎかな、と私が思っただけである。
書名 | 高校数学でわかるボルツマンの原理 |
著者 | 竹内淳 |
発行日 | 2008年11月20日 第1刷 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 860円(税別) |
サイズ | 新書版 |
ISBN | 978-4-06-257620-8 |
その他 | 講談社ブルーバックス、川口市立図書館で借りて読む |
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