土屋先生のユーモアエッセイ。
カバー裏の著者紹介は、著者文責のもと、次のようにある:
かつて文豪たちが 「わたしは自分の口実を神聖なものにしようとしていた」 「口実の多い生涯を送って来ました」 「親譲りの口八丁で子供のときから口実ばかり言っている」 と書き記したように、(後略)
第2のもじりは、太宰治の『人間失格』から、「恥の多い生涯を送って来ました」だということがわかった。 また第3のもじりは、夏目漱石の『坊っちゃん』から、 「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」からの引用だということがわかった。 では、第1のもじりはなんだろう。読んだことがない小説だろう。少し調べたら、 有島武郎の『生れ出づる悩み』の冒頭であることがわかった。 「私は自分の仕事を神聖なものにしようとしていた」で始まる小説だ。これは読んだことがなかった。 いつかは読まないといけないのだろうか。
標題に関連して、このような例示がある。
世の中にはラーメン一杯のために東京から北海道まで飛行機で行く人もいる (さすがに東京から東京のラーメン屋に行くのに飛行機に乗る人はいない)。
ここのカッコ書きの中を見て笑った。しかし、笑い終えたあとで、ひょっとしたら、 このような人がいるのではないかと疑った。たとえば、東京都の二十三区内に住んでいる人が、 八丈島のラーメンを食べたいと思えば、 羽田空港から八丈島空港まで飛行機に乗っていくのではないか。あるいはその逆も考えられる。
しかし、あまり疑いすぎるのも良くないのではないかと思ったりする。
書 名 | 日々是口実 |
著 者 | 土屋 賢二 |
発売日 | 2020 年 2 月 10 日第1刷 |
発売元 | 文藝春秋 |
定 価 | 630 円(税別) |
サイズ | p ; 15cm |
ISBN | 978-4-16-791444-8 |
その他 | 文春文庫 |
NDC |
まりんきょ学問所 > 読んだ本の記録 > 土屋 賢二:日々是口実