次の短編を収める。
この小説を読み終えるまでに20年以上かかったような気がする。なんといっても、 この本を買ったのが30年以上前で、そのときに読み始めようとしたかどうか覚えていない。 さすがに20世紀中には読み始めたような気がするのだが、なかなか物語の世界に入っていけず、 10ページほど読んでは投げ出し、数年放置して、というのを繰り返してきた。
しかし、さすがにこれではいけないと思いながら今度こそと思って 2020 年に本腰を入れて読み進めた。 この小説は、全部で4節ある。1 下宿屋 、2 社交界への登場、3 不死身の男 4 父親の死 である。1 下宿屋を読み通せば、あとは何とかなる。
「禿鷹」は、禿鷹に突かれる男の物語である。短いし、だいたいはわかる。最後の文で男の気持ちが明かされ、意外とは思うが、 少し考えてそういう気持ちにもなるだろうなとも思う。
わからないものは「掟の門」や「判決」だ。これらは、なぜ最後の文が提示されたか、こじつけでも考えを示すことができない。
「流刑地にて」は機械が出てくる。その構成物の説明に、まぐわ、という器物が出てくる。
鍬の一種だと思うが、よくわからない。広辞苑第四版にはこうある。
わが国在来の農具の一。牛馬にひかせて土を砕いたりならしたりするのに用いる。長さ約一メートルの横木に約二〇センチメートルの鉄製の歯十本内外を植え、
これに鳥居形の柄をつけたもの。
私はこのまぐわがわからないまま、オルゴールにある突起のついた回転する円筒を想像していた。
まぐわだから回転しないので、わたしの想像は当たらなかったことになるが、この機械仕掛けがばかばかしくておかしい。
私がこの作品集の中で一番感情移入できる作品だ。
書 名 | ゴリオ爺さん |
著 者 | バルザック |
訳 者 | 高山 鉄男 |
発行日 | 1978 年 11 月 25 日 印刷 |
発行元 | 集英社 |
定 価 | 円(本体) |
サイズ | 418 ページ |
その他 | 集英社版 世界文学全集 21 |
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