シュレーディンガー方程式の解の近似方法を工夫するために、理論の定式化が必要であった。このために考案された経路積分法が広く使われている。 本書前半では経路積分を正準量子化から導く立場で、解説している。後半では物性物理への応用を示している。
私は頭が弱いので、この本は難しい。
物理学者や電気工学者は、数学的理論は後回しにして、まずは役立つ体系を作る、ということをかつてしてきたという。 古くはヘヴィサイドの演算子法がそうだったし、ディラックのデルタ関数は有名である。演算子法はミクシンスキーが数学的な基礎を与え、 デルタ関数はのちにシュヴァルツが超関数の概念に昇華させたことでこれらは確固とした基礎ができた。 では経路積分はどうなのだろう。ディラックに発し、ファインマンが確立した経路積分は、どのような数学的基礎があるというのだろうか。 本書はこのような疑問について、まえがきを読む限りにおいてある程度は答えているようだが、残念ながらわからない。
本書では物性物理への応用について述べられているので驚いた。経路積分なるものは理論物理の領域だと思っていたからである。 私は 40 年前は応用物理の学徒であったが、経路積分なるものは見たことも聞いたこともなかった。ところが、かつて私が学んだ学科のホームページを見ると、 ある科目の授業内容に経路積分の名前があるではないか。最近になってからできたものかもしれないし、 40 年前からあったかもしれないが私が選択しなかった科目になかっただけなのかもしれない。
いずれにせよ、私は c 数と G 数も意味が分からないことからわかる通り、本書を読む資格はない。せめて、本書 p.8 の (1.50) 式、すなわち Feynman 経路積分公式を転記して、 自分のふがいなさを示すことにしたい。
`K(q_"f", t_N; q_"i", t_0) = lim_(N rarr oo)sqrt(m/(2pi i ħ Delta t)) prod_(j=1)^(N-1) int_(-oo)^oo sqrt(m/(2pi i ħ Deltat) )dq_j times exp[i/ħ Delta t sum_(j=1)^N {m/2((Delta q_i)/(Delta t))^2 - V(q_j^((alpha)))}]_(q_N=q_"f", q_0 = q_"i")`
MathJax で表現している。
書名 | 経路積分の方法 |
著者 | 大貫 義郎, 鈴木 増雄, 柏 太郎 |
発行日 | 2000 年 9 月 14 日 第 1 刷 |
発行元 | 岩波書店 |
定価 | 3400 円 |
サイズ | A5 版 |
ISBN | 4-00-006745-1 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
まりんきょ学問所 > 読んだ本の記録 > 大貫 義郎, 鈴木 増雄, 柏 太郎:経路積分の方法