安斎 育郎:超常現象の科学

作成日 : 2021-04-03
最終更新日 :

概要

副題は「世の中の不思議には表と裏がある」

感想

奥付の通り、古い本だが、私は 2021 年 4 月 3 日に買った。 蒲生駅内にあるアイ・ブックスで、ゴマブックスが何十冊もゾッキ本として売られていたので、 何か一つは買わないと、と思った。 たまたま著者の安斎氏の名前を存じていたので、これに決めた。

実は、名前を知っているだけではなく、講演を聞いたこともある。 私が学生のころ、オルタナティブを考える会、という組織が主催するゼミナールを聴講していたことがある。 このときの世話人が誰だったか全く覚えていない。高木仁三郎だったか小出昭一郎だったかのような気がしているが、 このような大物であれば私はもっとはっきり覚えていてもいいはずだ。

さて、ゼミナールは12回程度行われ、ほとんどがその世話人が話をしたのであるが、 中で1回だけ外部識者を招いたのである。そのとき来られたのが安斎氏であった。この本では立命館大学教授となっているが、 当時はこの前の肩書だった。おそらく東大助手だったに違いない。さて、この世話人が安斎氏を紹介するくだりだけは、 はっきりと覚えている。
「安斎さんは原子力発電に中立で、私は反対という立場ですが」
私はこの紹介を聞いて、安斎氏は信用がおけそうな人だと思った。

私は学生時代から原子力発電に反対する立場をとっている。そしてこの立場は今も変わらない。 おそらくこのオルタナティブうんぬん、という組織によるゼミナールを聴講した理由は、今となってははっきり思い出せないが、 この組織が原子力発電反対という旗を掲げていてそれなら合うかもしれない、と思ったからだろう。 そして、中立という立場であれば、反対の立場から見れば胡散臭く思われるだろう。賛成の立場から見てもそうだ。 いずれにしても旗色を鮮明にしているほうが楽である。しかし、安斎氏はそうしなかった。 氏の考え方は、本書の p.12 にある。 <科学者として、私の基本スタンスは「わからないことは調べればいい」というものだ。> 安斎氏の講演の内容は全く覚えていないが、きっと「わからないことは調べればいい」というものだったに違いない。 そしてその立場から、原子力発電に関する疑問を述べたのだと思う。

本書の話はいろいろ面白かったが、全部は紹介できないので、ちょっとした問題だけ紹介する。思い込みの恐ろしさを解く節で、 次の問題が紹介されている。なお、もとの問題は番号のないリストであったが、引用の都合で番号のあるリストに変更した。

問 次の□の中に適当な漢字を入れて熟語を完成させよ。

  1. □肉□食
  2. 品□方□
  3. 一□□中

1. は有名だが、2. や 3. はなるほど、と思った。四文字熟語の穴埋めには、けっこう名解答がありそうだ。

書誌情報

書 名超常現象の科学
著 者安斎 育郎
発行日1994 年 8 月 30 日 初版第1刷
発行元ごま書房
定 価825 円(本体)
サイズ??
ISBN4-341-01625-3

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MARUYAMA Satosi