「文庫版へのまえがき」から引用する:
アカデミックな論理を、ビジネスや日常生活や試験や運勢占いへ応用できるかどうか、試してください。
全問には難易度レベルが表示されている
要再読である。
ほとんどの問には参考文献が付されていて、親切だ。第 63 問の「利口な馬ハンス」は安斎育郎の『超常現象の科学』が参考文献として挙げられている。 この安斎の本は私も買って読んだことがある。
第 74 問のインスペクション・パラドクスは、私は次のようにして理解した。本書の例をさらに簡単にした例で考える。2 時間に 2 台の割合で来るバスがある。
ただし、正確に 1 時間に 1 台の割合で到着するわけではない。また、利用者がバス停に到着する時刻もまちまちである。このとき、利用者のバスの待ち時間の期待値はどうなるか。
期待値を計算するために、1 台めのバスが基準時刻 0 時 から `2 - 2x` 時間後に来るものとする(`0 lt x lt 1`)、2 台めのバスは `2 - 2x` から 2 時の間に来る。
このとき、利用者が 1 台めのバスに乗れる確率を `p` とするとそのときの待ち時間の平均は `1-x` である。
また、利用者が 2 台めのバスに乗れる確率は `1-p` でありそのときの待ち時間の平均は `x` である。`p = 1-x` であるから期待値 `E` を計算すると次のようになる。
`E = p(1-x) + (1-p)x = (1-x)^2 + x^2 = 2x^2 -2x + 1 = 2(x - 1/2)^2 + 1/2`
つまり、`x = 1/2` のときにちょうど待ち時間の期待値が 1/2 時間になるということ、` x=1/2` でないときは待ち時間の期待値が 1/2 より大きくなることがわかる。
第 77 問で説明されているシンプソンのパラドクスは、本書では次の2点が複合した要因として説明されているように私は理解した。
私が理解しているシンプソンのパラドックスは、上記要因の後半のなおかつ一部である。ちなみに、Wikipedia によると、
母集団での相関と、母集団を分割した集団での相関は、異なっている場合があるという逆説。
である。なお、
相関関係と因果関係の区別には、最近進歩の著しい「統計的因果解析」が役に立つ。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 論理パラドクス 論証力を磨く 99 問 |
著者 | 三浦俊彦 |
発行日 | 2016 年 9 月 30 日(初版) |
発行元 | 二見書房 |
定価 | 700 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-576-16135-8 |
その他 | 二見文庫, 草加市立図書館にて借りて読む |
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