全 20 課でエスペラントを学ぶ。以前の「エススプレス エスペラント語」の改訂版である。
従来の版の第6課の屈辱的な会話は次の会話に差し替えられている。 外国人を日本人が招いているという場面は同じだが、外国人は Carmen さん、日本人は Masao さんということになっている。
Carmen: Ĉu la domego tie certe estas la oficejo de JEI?
Masao : Ne, ĝi estas la parlamentejo de Japanio.Carmen: あそこのビルはきっと日本エスペラント学会の事務所ですよね。
Masao : いいえ、あれは日本の国会議事堂です。
そのほか、前著に単語力アップと表現力アップのページが加えられた。 単語力アップのところで家具の項目でテレビや洗濯機があるが、これらはむしろ電化製品に属するだろうから、 この本にある以外の電化製品も含めてまとめてみた。
日本語 | エスペラント |
---|---|
テレビ | televidilo |
ラジオ | radiorecevilo |
ビデオ | videoregistrilo |
ステレオ | streofono |
洗濯機 | lavmaŝino |
食器洗い機 | vazlavilo |
掃除機 | polvosuĉilo |
冷蔵庫 | fridujo, glaciŝranko, marvamujo |
エアコン | klimatizilo |
扇風機 | ventolio |
このように見ると、理念と実用との間のはざまで訳語が動いていることがわかる。 テレビはラジオと同様電波を使っていて、ラジオに映像が伴っているだけである。しかし、 ラジオはいわゆる放射線としての意味もあり、そちらを引きずっているためにradio に revecilo (受取機)をつけなければならなかった。 英語は逆に、受像機であることを表すために television set と言わなければならない(と私は40年前に教わった)。 tele が遠くであることを表す語幹であれば、ラジオを teleaŭdilo ということも可能だったはずだが、そうはなっていない。 エスペラントで遠くを表す語幹は for であり、それを厳格に採用してしまうと、tele で始まる西洋語をみんな for で置き換えねばならず、 それは得策ではないとザメンホフは判断したのだろう。
洗濯機は文字通り、洗う機械と訳されている(余談だが、ラヴマシーノという発音だけきけば、あのモーニング娘。を思い出す)。 さて食器洗い機は、器を表す語幹 vaz に洗う道具 lavilo を付けている。衣類の洗濯機で lavilo ということはないようだ。
冷蔵庫は fridujo が一般的だが、語幹 frid がほとんど使われないことばなので覚えるのには抵抗がある。 glaciŝranko は氷の入った家具という意味だが、今はむしろアイスボックスのようなものを想定すべきだろう。 となると、marvamujo、正確には malvarmigujo がいいのだろう。
ventolio は扇風機だが、ventumilo は団扇や扇子を指す。要注意。
書名 | ニューエクスプレス エスペラント語 |
著者 | 安達 信明 |
発行日 | 2008 年 10 月 10 日 発行 |
発行元 | 白水社 |
定価 | 円(本体) |
サイズ | ページ cm |
ISBN | 978-4-560-07693-2 |
NDC |
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