ファジィシステムの基礎と応用を全6章にわたってのべる。
クラスタリングについて考えよう。 クラスタリングとは、あるデータ群を何らかの尺度に基づいて いくつかのグル―プ(クラスタ)に分割する方法である。 グループの分割基準としては、同じグループに所属するデータは類似した性質をもち、 かつ異なるグループに所属するデータは異なる性質をもつ、というのが基本的な考え方だ。 以下は、同書の pp.136-138 に基づく。
いま、データ群が `n` 個からなるとし、個別のデータを、`mathbbx_1, mathbbx_2, ..., mathbbx_n` とする。 `mathbbx_j (1 le j le n ) ` は `d` 次元のベクトルである。 これを `c (2 le c lt n) ` 個 に分割することを考える。いま、 `mathbbx_j` が `k` 番めのクラスタに属する確からしさを `u_(kj)` とする。以下、これを帰属度と呼ぶ。 通常のクラスタリング(これをハードクラスタリングという)は、 `u_(kj)` は 0 か 1 の 2 値である`(u_(kj) in {0, 1})`が、ファジィ・クラスタリングでは 0 から 1 までの任意の値をとる`(u_(kj) in [0, 1])`ものとする。ただし、いずれの場合も k 番めのクラスタの帰属度は、 どれかのデータは 0 を超えること、 それから、一つのデータの各クラスタへの帰属度の合計は 1 になることが要請される。 式にすると次の通りだ。
`sum_j u_(kj) > 0 , sum_k u_(kj) = 1`
私が気になったのは、ファジィ c-means クラスタリングである。pp.136-140 にわたって解説されている。 ファジィ c-means 法は次の通りである。ここで、目的関数のほか、条件1と条件2は次の通りである。 `mathbbv_k` は、クラスタ `k` の中心となる `n` 次元ベクトルである。また、`U` は、 クラスタの帰属度`u_(kj)` を成分とする行列である。
目的関数: | `J_m(U, mathbbv) = sum_(j=1)^n sum_(k=1)^c (u_(kj))^m ||mathbbx_j - mathbbv_k||^2, 1 <= m < oo` |
条件 1: | `hat u_(kj) = (sum_(g=1)^c ((||mathbbx_j-hat mathbbv_k||)/(||mathbbx_j - hat mathbbv_g||))^(2/(m-1)))^(-1), AA j, k` |
条件 2: | `hat mathbbv_k = (sum_(j=1)^n (hat u_(kj))^m mathbbx_j) / (sum_(j=1)^n (hat u_(kj))^m ), AA k` |
条件1, 2 のもとで目的関数の極値を満たす `u_(kj), mathbbv_k` は、次のように求めることができる。 なお、各変数の右肩にある()内の数字は、反復の回数を表す。 また、収束を判断するための正の微小しきい値 `epsilon` が定義されているとする。
一方で、ハード・クラスタリングでは次のようになる。 これは、一般に k-means 法と呼ばれるクラスタリングで、 上記で、m = 2 かつ `u_(kj)` は 0 か 1 の 2 値である`(u_(kj) in {0, 1})` 場合に相当する。
目的関数: | `J(U, mathbbv) = sum_(j=1)^n sum_(k=1)^c u_(kj) ||mathbbx_j - mathbbv_k||^2` |
条件 1: | `hat u_(kj) = {(1, if k = argmin_(g) sum_(j = 1)^(n)(||mathbbx_j - hat mathbbv_g||)^2 ), (0, otherwise):}` |
条件 2: | `hat mathbbv_k = sum_(j=1)^n (hat u_(kj)) mathbbx_j , AA k` |
こちらの手順は次の通り。
条件1, 2 のもとで目的関数を最小化する `u_(kj), mathbbv_k` は、次のように求めることができる。 なお、各変数の右肩にある()内の数字は、反復の回数を表すことは同じ。 収束を判断するための微小定数は必要ない。
以上は理論的な話である。実際には初期値 `U` は既知の情報が生かしてもっともらしいグループにとるのがよい。 そうすれば収束もうまく進むだろう。
ページ | 誤 | 正 | 参考 |
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56 | 炉熱を関節的に示す | 炉熱を間接的に示す | 下から7行目 |
80 | フィジィモデル | ファジィモデル | 表3・5 |
142 | 手首関接のX線写真 | 手首関節のX線写真 | 下から3行目 |
かんせつが鬼門のようだ。
数式は、ASCIIMathMLを用いて表記している。
書名 | 応用ファジィシステム入門 |
著者 | 寺野 寿郎 他(編) |
発行日 | |
発行元 | オーム社 |
定価 | 円(本体) |
サイズ | 版 |
ISBN | 4274074811 |
NDC | 501 |
その他 | ?? |
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