久保田 慶一:音楽分析の歴史

作成日: 2020-08-07
最終更新日:

概要

副題は「ムシカ・ポエティカからシェンカー分析へ」

フィグール

副題の「ムシカ・ポエティカ」とは、音楽家、ブルマイスターの主要著作である。 その著作で「フィグール」という用語を定義している。ここではその定義を明らかにしないが、 この「フィグール」という用語で思い出したのは、詰将棋の巨椋鴻之介による「禁じられた遊び」における、 自作の解説に使った用語である。それぞれを読み比べてみると面白い。

トリスタン和音


p.237 では上記のトリスタン和音が譜例として掲げられている。本書によれば、《最も解釈が難しいのは、 第2小節目にある和音(f-h-dis1-gis1)で、様々な解釈を可能にしている》 とある。これ以上は、本書を読んでみるといいだろう。

気になったところ

索引がないのが気になった。せめて人名索引だけでもあったほうがいいのではないかと思う。

p.244 ハイドンのピアノソナタが譜例8-3 として掲載されている。 この譜面の2小節、左手が G のみであるが、これは1小節と同じく、Es-G の和音ではないだろうか。 私の手元にあるウィーン原典版では、Es-G の和音となっている。

また、p.295 で分析の例として表になっている、ヴィヴァルディの『調和の幻想 op.3』イ短調の 「ヴァイオリン協奏曲」とあるが、調和の幻想のイ短調のヴァイオリン協奏曲は第6番と第8番の2曲ある。 第6番は1つのヴァイオリンのための協奏曲で、第8番は2つのヴァイオリンのための協奏曲である。 私は楽譜を参照して、この分析は第6番に対するものであり、第8番に対するものではないことを確認した。

誤植

p.19 上から6行目「ブルマイタスー」とあるが、「ブルマイスター」が正しい。

楽譜について

abcjsを用いている

書 名音楽分析の歴史
著 者久保田 慶一
発行日2020年 3 月 30日(第1刷)
発行元春秋社
定 価3600円(本体)
サイズA5判
ISBN978-4-393-93038-0
その他越谷図書館南部図書室で借りて読む。

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MARUYAMA Satosi