カバーの文から抜粋する。
淡い滑らかなヒト付き合いを好む反面、 モノへの執着を深める現代人の姿を巧みにとらえた好エッセイ。
全部で 30 編からなるエッセイは、それぞれのモノについて語られている。
そのうちのあるエッセイの表題が「染付」である。
この「染付」いうモノがわからず途方に暮れた。「染付」とは何だろう。
新明解国語辞典第5版で調べてみた。
あい色の模様を染めた布、または小そで(焼き付けた磁器)。
染付がわからなければ、この本を読む資格がないかもしれない。
ほかにもモノの名前が、固有名詞も含めてこれでもかというほど出てくる。 しかし、固有名詞が出てくるほとんどのモノは私には縁がない。 なぜ、著者がこんなにも固有名詞の名前を出せるのか。一つは、 著者の職業に由来するのだろう。著者は精神科医である。 エッセイの13 <宝もしくは「ガラクタ」―万年筆>で、著者はこう書き出している。
もう何年の前のことだが、仕事の帰りに毎日デパート巡りをしていた時期がある。 面接中に商品名を連発する患者が増えたため、 僕の方でも商品知識が充分にないと精神科医としての仕事に差し支えが生じてきそうな気がしたのだ。
書 名 | 精神科医のモノ・グラフ |
著 者 | 大平 健 |
発行日 | 1996年11月15日 第2刷 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 1650 円(本体) |
サイズ | ?? |
ISBN | 4-00-002981-9 |
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