荻野圭三:表面の世界

2026-06-04

概要

「まえがき」から引用する:

(前略)あたりまえの液体や固体の表面も,分子レベルのミクロな見方をすると,ふだん気がつかない面白い性質や現象をたくさん見出せる.それらは, われわれが日常接する身近なものから広い工業分野,さらに最新の先端技術の分野に至るまで幅広い範囲で関連している.表面に関するサイエンスは今後,ますます重要となるだろう.(後略)

感想

アボガドロ数

p.97 に次の記述がある。

ブラウン運動という言葉を聞いたことがある人は,多いに違いない.1827 年,英国の植物学者 R. ブラウンが,水中に浮いた花粉粒子を顕微鏡でのぞいているうち, 粒子の不規則な運動を発見した.(後略)

Wikipedia の「ブラウン運動」の項などで指摘されている通り、ブラウン運動で不規則な運動をするのは、花粉そのものではなく、花粉から流出した微粒子である。したがって、本書の記述は誤りである。 それはともかく、相対性理論で有名なアインシュタインは、相対性理論だけでなく、多くの物理の分野で名を残している。その一つがブラウン運動についてのものである。 ブラウン運動によって粒子が移動する距離を `bar Delta` とするとき,`bar Delta` は他の物理量によって表わされることを見出した。具体的には下記の(8・6)式が掲げられている。

`bar Delta = sqrt((RTt)/(3pi eta a N))`

ここで右辺の値は、`R`:気体定数, `T`: 絶対温度,`t`:測定時間,`eta`:媒体の粘度,`a`:粒子半径,`N`:アボガドロ数、である。 この式から言えることは、アボガドロ数 `N` が未知であるとするとき、左辺の `bar Delta` や右辺の他の量は計測可能であることから、アボガドロ数 `N` を実験によって求めることができる、ということがわかる。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

書誌情報

書名表面の世界
著者荻野圭三
発行日1998 年 10 月 10 日 第1版
発行元裳華房
定価1700 円(本体)
サイズB6版 161 ページ
ISBN4-7853-8695-9
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