本書は,大学一般教育課程の論理学の教科書を意図して書かれたものである。
章末には問題がある。解答はない。
要再読である。
索引がないのが不便である。
p.90 問題 15. から引用する。
A, B, C の 3 人のうち,1人は騎士,1人は悪漢,1人は普通人である。 騎士は常に真実を述べ,悪漢は常に嘘をつき,普通人は時には真実を述べ,時には嘘をつく。この3人が次のように言っている。
A : 私は普通人だ。
B : それは正しい。
C : 私は普通人ではない。A, B, C は何物か(R.スマリヤン『この本の名は?』より)。
難しいが、なんとか考えよう。A は騎士ではない。騎士は常に真実を述べるからだ。だから A は悪漢か普通人かである。 まず、A が悪漢だと仮定しよう。騎士は B ではない。なぜなら、悪漢である A が「自分は普通人だ」と嘘をついているのに、 これを正しいと言うことができないからだ。騎士は常に真実を述べないとならない。 従って消去法で騎士は C であり、普通人は B である。これは辻褄があう。
次に、A が普通人だと仮定しよう。 このとき、B が騎士ならば C は悪漢であるが、悪漢である C が述べた「自分は普通人ではない」ということは真実であり、 常に嘘をつくという B の素性に矛盾する。 また B が悪漢ならば、普通人である A の発言を正しいと言っているので、これもまた常に嘘をつくという B の素性に矛盾する。 どちらも矛盾するので、A は普通人ではありえない。
以上から、A: 悪漢、B: 普通人、C: 騎士 であることがわかる。
論理式の記述ではMathJax を用いている
| 書名 | 現代論理学 |
| 著者 | 山本新 |
| 発行日 | 昭和 63 年(1988 年) 5 月 5 日(初版) |
| 発行元 | 高文堂 |
| 定価 | 2950 円(本体) |
| サイズ | |
| ISBN | 4-7707-0257-4 |
| NDC | 116.3 |
| 備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |
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