「今後百年読まれ続けて欲しい」と著者が願う、現代の秀歌百首。
なぜこの本を買おうと思ったか、いまだに思い出せない。自由律の詩ばかり読んできたことに負い目があったのだろうか。
私の中で名前を聞いたことがある人は10人ぐらいいた。皇后美智子のように歌人としてではなく知っていた人もいれば、 歌人としてデビューした俵万智もいる。前衛短歌の旗手ということで知っていた岡井隆や塚本邦雄だったり、 筒井康隆の「本の森の狩人」で紹介されていた「晴朗悲歌集」の著者、島田修三も見かけることがあった。ただし、そのあたりまでである。
だいたい、短歌を、否、詩歌を口ずさんだり、詩歌の朗読を聞いたりする機会がないのだ。やはりこの本に出ている歌人、 福島泰樹は「絶叫する歌人」として私の記憶に残っているけれど、まだ福島の絶叫を聞いたことがない。
古代や近代の歌はまだ、折に触れて口に出すことはある。百人一首の「……いずこも同じ秋の夕暮れ」とか、 石川啄木の「……花を買い来て妻と親しむ」とか。でも、この現代秀歌で覚えている歌は一つもない。 俵万智の歌として掲出されているものでも、私が覚えていないものだ。
これから覚えていかなければいけないのは、これかな。篠弘の歌である。
降職を決めたる経緯ありのままに声励まして刻みつつ言ふ
俺は言う側ではなく、言われる側だろうが。
書 名 | 現代秀歌 |
著 者 | 永田 和宏 |
発行日 | 2014 年 10 月 21 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 円 |
サイズ | ページ 19cm |
その他 | 岩波新書 新赤版 1507 |
ISBN | 978-4-00-431507-0 |
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