語学教育研究所(編):基本英語一千語 |
作成日: 2016-08-21 最終更新日: |
この本の一千語を選んだのは、イギリスの英語学者であるハロルド・イー・パーマー氏である。 氏が基本一千語を発表した理由は、日本人が覚えるべき英単語は、英米人に最もよく用いられる基本的な単語である、という信念からであった。
この本は、パーマー氏が発表した一千語を収録している。これだけでは誤解が生じるおそれがある。 p.5 の「本書使用上の注意」を引用する。
Palmer 博士の単語の数え方は,ほかの人のとは違っています。例えば,wirte,wrote,written,writing は普通は 4 語と数えますが, Palmer 博士は,これらを 1 語とみなしています。それで,「一千語」といっても,実は五千語以上あるわけです。 なお,「一千語表」にあっても本書に入れてないものもあります。
こういうとき、英語はずるいと思う。だって、不規則動詞を覚えるのは並大抵の苦労ではなかったからだ。 もっとも、若いころは不規則動詞を覚えるのは当然だと思っていた。 英語は中学校のころから学んでいたからなんとかなったが、大学に入ってからドイツ語の不規則動詞で挫折した。 そして、エスペラントを知って不規則動詞には憎しみまで覚えるようになった。それをいまさらいっても仕方のないことだ。
そして「一千語表」にあっても本書に入れてないものがあるという。わざわざそのように書かれると、どの単語を入れていないのか気になる。 私が想像するに、動詞や形容詞の変化形の一部であり、省いても影響がないと編者が判断したものだろう。
また,アステリスク(*)を付けた語は,Palmer 博士の選んだ「一千語表」にはなかったものですが, 日本の中学校の教科書には,はやくから出てくるもの,あるいは日本語化しているために覚えやすく,また普通よく用いられるような単語です。
これらのことを合わせると、一千語といっても手ごわいのである。
おそらく今はどんな単語集でも例文を日本文と英文の両方を載せているだろう。そして、日本文から英文に訳すとき、難しいと思えるものでも、 いともあっさりと言えるものがあることに気付く。
たとえば、「胸がどきどきした。」という日本文はどう訳せばいいか。beat の項を見ると My heart beat fast. という英文があり、該当の日本文が対応している。
言語は時代によって変わる。奥付には、1942 年 2 月 5 日 第 1 版第 1 刷発行、 1968 年 2 月 10 日 新訂第 1 版第 1 刷発行とある。果たして、現代でもこの本の千語の選択は今でも妥当なのか、 また例文は今でも使えるものなのか。私にはわからない。
書 名 | 基本英語一千語 |
編 者 | 語学教育研究所 |
発行日 | 1989年4月20日(新版第1版第13刷) |
発行元 | 開拓社 |
定 価 | 456円(本体) |
サイズ | 192ページ 新書版 |
ISBN | 4-7589-0019-1 |
NDC(8版) | 834 |
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