ファインマン、レイトン、サンズ:ファインマン物理学Ⅰ力学

作成日:2023-10-07
最終更新日:

概要

「ファインマン序」から引用する。

本書は,昨年と一昨年,私がカルテクで1年生と2年生に対して行なった物理の講義である.

ここでカルテクとは、California Institute of Technology のことで、普通カリフォルニア工科大学と呼ばれている。

感想

訳者は、これを読み通すにはそうとうの努力が必要である.と断言している。そのため、努力ができない私は読み通すのを断念した。

私が読み通すのを断念した理由は、努力ができないだけからではない。本書の単位系がヤード・ポンド系であるため、私がふだん使っている日本のメートル系と違うからだ。 たとえば、第4章の「エネルギーの保存」の一節を p.49 から引用する。エネルギー保存則を積木にたとえて説明している箇所である。

お母さんは積木1コの目方は 3 オンスであることを知っている.(中略)水の深さは,はじめ 6 インチで,積木を 1 コ投げ入れるごとに水面は `1/4` インチずつ高くなる。

私はこの文を見ただけで思考が停止してしまう。1 インチはおよそ 25.4 ミリメートル であることは覚えているが、1 オンスの重さは知らない。調べてみたら、オンスにはいろいろ種類があるが、 多く使われる常用オンスはおよそ 28.35 グラムであることがわかった。ついでに本書では当然ポンド(常用ポンド)も出てきてこれはおよそ 453.6 キログラムであることがわかった。 ではメートルは全く出てこないかというとそうでもない。第5章の「時間と距離」では、天文学や原子物理学を扱うことからメートルが出てくる。

章立ても私が読んできた力学の教科書とはかなり違う。たとえば、力とはなにか?という問はふつう最初で扱うだろうが、 本書では第 12 章で「力の性質」として初めて考察されている。まあ、読めるところから読んでいこう。そう考えてパラパラめくっていっても、読めるところがないのだった。

第 12 章は「力の性質」である。12-2 節の「摩擦」を読んでいると、摩擦係数は材質というより表面に付いている不純物によって決まる、と書かれていて、 そうだよなと思った。また、12-3 節の「分子力」を読んでいて、「ヨハンソン・ブロック」というのが出ていて何かと思って調べたら、通常日本では「ブロックゲージ」と呼ばれている長さ基準器であることがわかった。 遠い昔、私が就職して数年したころ、仲のよかった同僚と部屋で飲んでいたときのことを思い出した。ノックが聞こえたので誰かと思ったら、 それほどつきあいのないまじめな同僚だった。この同僚は自身の職場では溶接を研究しているのだが、なんでも上司から、「溶接だけで飯は食っていけない、 他にも接着や接合をテーマにしたネタがあるだろうからそれを調べろ」と言われたらしい。私は当時計測を担当する部門にいたので、今の仕事ではないがと前置きをしてこんな話をした。 以前研究していた半導体材料についてのトピックスで、異種の半導体を接合するにはいきなり固体どうしを接合することはできず通常は気相成長やスパッタリングなどを使うが、 異種の半導体の表面をごく清浄な平坦面にして真空中で高圧の力をかけると接合するというニュースがあった、という話だ。

数式記述

MathJax で表現している。

書誌情報

書名 ファインマン物理学Ⅰ力学
著者 ファインマン、レイトン、サンズ
訳者 坪井忠二
発行日 1986 年 7 月 25 日 第 27 刷
発行元 岩波書店
定価 3000 円
サイズ
ISBN 4-00-007711-2
その他 草加市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi